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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

マーシャル・ゴールドスミス氏「リーダーは”聴き”ましょうね」なお話。

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ハーバードビジネスレビューを見ていたら、マーシャル・ゴールドスミス氏のインタビューが載っていました。面白かったので感想をば。

ゴールドスミスさんは、エグゼクティブコーチングをなさっている、コーチングの権威のおひとりだそうですが、彼のコーチングの目的は、「悪いリーダーをそこそこのリーダーにすることではなく、偉大なリーダーをさらに成功させること」なんだと話しています。

リーダーというのは、文字通り「リード」する役割があるので、どうしても聞くより話すことが多くなってしまう。だけれど、今の時代、命令や指示では人は動かないし、そもそも、リーダーが指示出したり命令したりするほど知識を持っているってことはもうなくなっているよねー。

だったら、部下から学ぶことが大事。そのためには耳を傾けなくてはね、とおっしゃっています。

エグゼクティブが変わるため(自己変革に成功するため)に影響する要素は3つだとか。



1.勇気 自分と対峙する勇気
2.謙虚さ 自分ま改善の余地があることを認める謙虚さ
3.自己規律 自分を常に律する

・・・うーん、難しい。リーダーでなくても、中高年になるとかなり難しい。

胸がちくちく痛みます。

さて、このインタビューには後半に鋭いことが書いてあります。

私たちは皆「自分をポジティブに評価してくれる部下を高く評価する傾向」がある、というのです。わかりますねーこれ。

厳しいのは以下のくだり。

「自分を無条件に称賛してくれる部下を重用し、その結果、会社の利益を度外視して、あなたの気に入る行動を取るような部下を育ててしまう」

上記について「No! 私はそんなことない、フェアだ。謙虚に耳を傾ける」と言う人ももちろん大勢いるのだけれど、ゴールドスミス氏はそんな時、以下のように問いかけてみるそうです。

「犬飼ってます?」
「誰はばかることなく愛情を注ぐ相手は誰?」

すると、「家族より犬を挙げる」人が多いのだとか。

愛情を注ぐ理由を尋ねれば、

「だって、犬は尻尾降っていつでも私を迎え入れてくれる」
「だって、何をしても無条件の愛情を示してくれるから」

と。「自分に愛情を示してくれるから自分も愛情を注いでしまうのでしょう?」

ゴールドスミス氏は、「ほらね。・・職場も犬に対するように人と対していませんか」。

うむ、そうだなあ。

わかるなあ。

人間は、自分を好きでいてくれる人が好きなんですよね。
エグゼクティブなくても、誰だってそうです。

ただ、上に立つ人であればあるほど、それは危険なことだというわけです。

部下から学ぶためには、きちんと聴きなさい、徹底的に聴きなさいと述べています。

たとえば、以下のようなことをするだけでも相当苦労するよ、と。


「相手の話を途中で遮らない」
「相手の話を途中で引き取って自分が話してしまわない」
「そのことは知っていると言わない」
「でも、しかし、と言わない」

・・・・

難しいですよね。

頭ではわかるのです。

実践するとなると難しい。

ためしに、家族の話を黙ってじーっと聴き続けてみようとしてみるといいと思います。

途中で、「私」が前面に出てきてしまうことが多いはず。

人間、徹底的に聴き、理解するというのは本当に難しいのです。

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