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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

第4話:サンタクロース

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一般に、人は何歳までサンタクロースを信じているものだろうか?
おそらく物凄く驚かれると思うのだが、私は13歳、中学2年の冬まで信じていた。

父の仕事の関係で2歳から5歳までアメリカに住んでいた。だから、クリスマスの原体験はアメリカにある。白髪のサンタクロースの膝に抱かれて撮った写真も残っている。幼い頃からクリスマスはとても身近なものだった。

Photo

帰国してからもクリスマス近くなると、「サンタさんにお手紙を書きなさい」と親に言われ、「今年一年の自分のことと来年の抱負&欲しいもの」を便箋にしたためた。


この手紙は、父が「投函しておくから」と預かってくれた。



クリスマス12月25日の朝、枕元には、「欲しい」と書いたものの一部もしくは全部(といっても、昭和40年代の小学生。贅沢なものなど皆無で、色鉛筆とか香り付き消しゴムとか中身はたかが知れている)が置いてあった。

「なぜ〝高島屋の包み紙〟なんだろう?」という疑問は持ったのだが、「だってサンタさんが自分の国から全ての子供のプレゼントを持ってくるのは大変でしょ? 日本に来たら、日本人になりすまして、デパートで調達するんじゃないかしら」と母に言われ、「なるほど、それもそうだ。ソリに大荷物を乗せて遠く外国からやってくるのは大変だもんな」と納得していた。



小学校高学年になると、さすがに周囲でもサンタクロースを信じている人は激減してきた。私が「うちには必ず来る」と言い張っていると、「それは親がやっているんだよ」とクラスメイトに言われた。帰宅して、「お母さん、サンタクロースはいない!と皆が言うけど、私は毎年ちゃんと手紙を書いているから、プレゼントももらえるんだよね」と話したりもした。

ある日、母が「これがあるわよ」と新聞記事の切り抜きをくれた。フィンランドのサンタクロースへ手紙を書くと返事がもらえるというものだった。

「いつもここに手紙が届くのよ。だから、このサンタクロースがプレゼントを届けてくれるのよ」と言われたので、記事を学校に持って行き、皆に見せた。

「えー!? ここに手紙出したって、プレゼントは届かないんじゃない?」と疑うクラスメイトもいたのだが、結局はそれぞれが家で手紙を書き、エアメールで出すことになった。

その年のクリスマス。我が家にはちゃんとプレゼントが届いたが、友人の家に、サンタクロースから返事は届いたものの、プレゼントは届かなかった。(もちろん、各家庭で両親からはプレゼントをもらった)

「やっぱり、サンタクロースはいないよ。親がやっているんだよ」と強く言われてしまった。

父にそれを話すと、「同僚のうちにもサンタクロースが現れたらしいよ。息子が『今年こそ、サンタクロースを見る』といってずっと起きていたんだそうだ。夜中にガタっと音がしたから行って見たけど、もう姿はなく、プレゼントだけが置いてあったんだって。やっぱり、子供に姿を見られないようにしているんだね」

とても神秘的な話をしてくれたので、またまた私は深く信じるようになった。



もう少しで14歳になろうという冬。まだまだ疑う気配も見せない私に、とうとう「真実」が告げられた。

「毎年サンタクロースが来ていたけど、あれは、お父さんとお母さんがやっていたんだ。淳子があまりに信じているから、中2だし、そろそろ本当のことを伝えたほうがいいかと思って」。にわかには信じられないこの告白。

ボーゼンとした私は、慌てて尋ねる。

「え? だって、クリスマス前、家のどこにもプレゼントは置いてなかったよ。押入れも箪笥の中もどこにもなかったよ」

「毎年、車のトランクに隠しておいたんだ」

「じゃあ、お父さんの同僚のうちに来たサンタの話は?」と聞くと、「あれも同僚のおじさんが慌てて逃げたから息子にはばれなかった、という話なんだ」

ガツーンという衝撃を受けた12月。



その年、サンタクロースへの手紙は書かなかった。そして、当然のごとく、その年からサンタクロースは来なくなった。両親からは何かをもらったと思うが、サンタクロースからのプレゼントはこの年からなくなった。

サンタクロースはいない、のではなく、その存在を信じなくなった子どもの所には来なくなるのだと今でもなんとなくそう思っている。

毎年この季節になると心に浮かぶ子供の頃の思い出だ。

今宵も多くの子どもたちのところに、サンタクロースがやってきますように。


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