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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

上司が学ぶことを部下も学んでおいたほうがいいのか、それとも、やめた方がいいのか。

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先日、面白い(興味深い)質問を受けました。

「田中さんの『若手を育てる47のテクニック』という本、僕は、上司でも先輩でもなく、一番の若手なのだけれど、そういう人間でも読んでおいたほうがいいですか?それとも、上司が読んでいるなら、僕は読まないほうがいいですか? 上司の手の内がわかってしまうので、よくない、ってことはないですか?」

・・・なるほど、鋭いご質問ですね。

一メンバが、上司が読むような本を読んだり、上司が参加するような研修や勉強会に臨んだりするってのは、どうなんでしょう?上司がすることを「あ、本に書いてあること、やってるわ」とか「これ、研修で学んだこと、実践しているだけじゃん」と”手の内”が透けてみえ、上司も、自分もやりにくいのではないか、というわけです。

それも一理あります。

無垢のほうが、上司のしようとしていること、考えていることを素直に受け止められるのではないか、と考えれば、そう思うのも無理はありません。

でもですね。

やはり、私はこう思います。

チャンスがあるなら、同じ本を読んだほうがいいですよ。
できることなら同じ研修に自分も参加してみたらいいですよ。

と。

たとえば、「コーチング」というスキルがあります。他者の気づきや学びを引き出し、自分で答えを見つけ出すサポートをするための、質問を中心としたコミュニケーションを行います。

これ、どちらかといえば、上司や先輩という、他者の成長を支援する立場にある側が参加するものではありますが、成長を支援される側の若手(部下とか後輩)が参加しておくことにも意味があります。

というのは、こんなことがあるからです。

仮に部下の私が上司に相談ごとを持ちかけたとします。
上司は、コーチングを勉強していて、この機会に使ってみようと考えたとしましょう。

「田中さんは、どう思う? どんな風に取り組みたい?」

・・・私としては相談したのだから、「こういう風にしてみたら」とか「これをすればいいよ」と答えやアドバイスをもらえるものと思っていたのに、質問に対して、質問で帰ってくるなんて、ああ、めんどくさい。上司は答えもわからずごまかしているのか!と思ってしまうかもしれません。

でも、私も「コーチング」を学んだことがあれば、「上司は、今、私にコーチングを使ってみようと思っているのだな」と、上司のアプローチを理解できます。

理解できれば、その流れに乗りやすくなるはずです。

コーチングを例に出しましたが、ほかのことでも同じです。

「WinWinを考える交渉術」というのは、一方が知っているよりも、双方がその考え方を知っているほうがはるかにやりやすい。

上司の手の内がわかったっていいじゃないですか。

上司が、仮に、本に書いてある通りのスキルを実践しているからって、そこは笑ってはいけないのです。

笑う代わりに、

「ああ、上司は、これを取り入れてみているんだなあ」と観察したり、
「自分だったらどうするかな」と考えたりする・・・

そのほうが、健全です。

上司と部下が同じ本を読む、同じ研修に参加する、同じことを学んでおく。

決して悪いことではありません。かえっておすすめしていくらいです。



というわけで、冒頭の答えは、

「はい、ぜひ、拙著をあなたもお読みください。上司や先輩の考えを理解してコミュニケーションに乗っていくだけでなく、ご自分が先輩や上司の立場になった時、今度は自身で活用してみてください」

でした。 (多少、宣伝、入ってますけどもw)


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