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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

講師に注文するのを躊躇してしまう、というお話。

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先日、あるお客様先で研修を担当し、少数のワークショップだったので、わきあいあいと休憩時間も様々な情報交換をいたしました。

その際、「そういえば、以前、ある会社に研修を依頼した時のこと」と先方がお話ししてくださったことは、私たち教育ベンダーにとっても、耳が痛い内容でした。

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ある会社に「こういう内容で研修をしたい」とリクエストを伝えたところ、「いい講師がいる」ということで紹介してもらった。その講師は、何かで有名な人でもあり、とても期待していた。

事前打ち合わせで「自社の希望」などを伝え、当日を楽しみにしていた。

その講師は、自己紹介に1時間以上を費やし、その後もとどまることなくしゃべり続けた。それも弾丸トークで。たまに参加者に「話し合ってください」と数分のワークの時間をとってはくれるがそこで出た内容を拾い上げることはなく、「自分が言いたいことをただただしゃべり続けていた」のだった。

途中で、「うーん、お願いしたかった内容とちょっと違う」とは思ったものの、割り込む隙もないほどの機関銃トークなため、最後まで、「違うなあ」と思いながら、研修は終えた。

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「もうたぶん、2度とお願いすることはないと思う」とおっしゃるのでした。

他社の例ではありますが、耳が痛いお話しです。

私は、つい、「講師に言っていいんですよ。途中で、”お願いした内容で進めてほしい”とか、”もっと巻き込んでほしい”とか・・。そういうのを対応するのがプロですから」とコメントしたのですが、「なんか、言いづらかったのよねぇー。話が止まらないし」とのこと。

お金を払っている側、、というか、オーダーする側(サービス受給側)がこういう風に遠慮してしまう、というのはよくある話ですよね。

美容院で、美容師さんにうまく注文を伝えられない。
病院で、医療従事者に本音を伝えられない。

そういう例は枚挙にいとまがない。なぜか、言ってはいけないような気がする。あるいは、とにかく、「言えない」。「違う」と思いつつ、「もっとこうしてほしい」と願っていても、遠慮し、口を閉ざしてしまう。でも、それ、互いのためによくないことです。正当なサービスを受けられないわけですし、講師も成長しないし。

だから、「もう二度とお願いすることはない」と思う前に、そこにかけたお金や時間(時間もお金ですが)を考えたら、「もっとこうしてほしい」と途中で言っていいと思うのです。(人材育成を生業としている企業のためにもぜひ言っていただきたい)

そう言われて怒り出すような講師だったら、もうそれまでで。
軌道修正できないなら、プロじゃないですし。


とても考えさせられるお話でした。

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