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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

世の中に一人やふたりくらい「怖い存在」がいるほうが、人はストレス耐性が育つような気がする

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たまに登場するうちの父は82歳(昭和6年生まれ)。怖いですよぉー。怖い、怖い。

今だに怒られます。というか、何で怒っているのか、最近では理由がよくわかりません。

子どもの頃から怖かった(というか厳しかった)けれど、その際の理由はよくわかりました。老齢になり、こちらもれっきとした中年になり、それでも、まだ怒られるので、「はて?」となることもたびたびあります。

少し身体の自由が利かなくなったこと、思うように表現したり、自分で何かをしたりできなくなってきたこともあってか、短気に輪がかかり、ほんとに怖い。(「怒り」と「悲しみ」は同じ、と何かで聴いたとき、父は悲しんでいるのかもしれない、というとらえ方を多少するようになりましたが)

普段はかなり穏やかなのですが、瞬間的にスイッチがonになり、そのきっかけがわかるとき、わからないときがあり、たいていは、わからない・・・。

まあ、そんな父を、うちの甥っ子(4歳)は恐れておりまして、「ぎろっ」とにらまれると、後ずさりしたり、べそかいたり(←めったに泣かない彼が)。

それを見ながら、

「お父さん! 小さい孫相手にそんな怖い顔しなくてもいいでしょうー。○○ちゃんもわざとやったわけではなくて・・」

などと注意するのですが、一方で、

『まあ、世の中に一人くらい怖い存在がいるっていいことだなあ』(にやにや)と思ったりもします。

というのは、甥っ子の母である、わが妹は、父が怖いというだけで、仕事に役立っていた時期があったからです。

長年勤めていたある企業で、お客様からの問い合わせを受ける仕事をしていたことがありました。それは、ちょっとハードな状況にあるお客さまからの電話が多い職種だったので、最初から怒っている、だんだん怒ってくる、なんだかわからないけど怒り出す・・・というケースも多々あったようです。聞くだけでもストレスフルな状況です。

妹はその職場に何年かいましたけれど、よくこう言っていました。

「うちのお父さんを知っているからさー、怒っている人の電話とか、全然平気なんだよねー。お父さんのほうが怖いくらいだから。お父さんに感謝しているよ」

・・・・なるほど。

最近、時々、「よく泣く若手」の話を再び聴くようになりました。

たとえば、

「怒っているのでも注意しているのでもなく、”今日はお客様とどういう話をしたの?””先方はどうおっしゃっていたの?”と尋ねただけで、じわじわーっと涙目になって、最後は、トイレに駆け込まれてしまうのだけれど、どうすればいいんだろう?」

とか、

「”大丈夫?”と尋ねただけなのに、責められていると思うのか、徐々に涙が出てくるらしい・・・(困惑)」

とか・・・・。

親御さんが優しかったのかなぁ・・・。厳しいこと言われたことないまま社会に出てきたのかなぁ・・・。うちの父に逢ったら、もうトイレから出てこられなくなっちゃうだろうなあ・・・、と思いながら、そんな話を聴いています。

世のお父さん、お母さん、あるいは、おじいちゃん、おばあちゃん、おじさん、おばさん。

優しいだけではなくて、時に厳しく、怖い存在でいることも大切ですよ。そのほうが子供たちは、渡る世間の鬼にうまく立ち向かえるのではないでしょうか。ええ、そうです、きっと。

うちの父には、できるだけ長生きしてもらい、甥っ子に対して、「世の中には、理屈じゃなくて、怖いものがある」という教育をして欲しいと思っております。


・・・んで、頼むからさ、50歳にもなった娘を怒るのはやめてくれないかね、お父さん。

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