「安心感」が人を「自立させる」というお話。子育てでもOJTでも何にでも通じる話だなぁ、と。
先日紹介した「初孫の本」(←省略しすぎ)に、もう一つ、心に残る言葉が書いてありました。
「子どもを自立させるにはどうしたらよいか。<略> 自立の元になるのは、意欲。意欲の元になるのは、安心感。<略> 安心感は、十分に甘えて、甘えを受け止めてもらうことで得られます」
「甘えない人が自立するのではなく、甘えた人が自立する。<略> 子ども時代に、じゅうぶん甘えた人が自立するのです。」
「安心感が、子どもの心を育て、強くし、「生きる力」になっていくのです」
そして、こうもありました。
「甘えさせると甘やかすは違う」
たとえば、ダダとこねたといってチョコレートでもアイスクリームでもおもちゃでも買ってあげるのは「甘やかす」。それは子どもをスポイルする。
でも、悲しいことがあったとか痛いことがあったとか、そんなとき、寄り添って、あるいはただただ抱きしめて、「痛かったのねー」と甘えさせてあげることは、子どもに安心感を与える。そして、そういう「安心感」を持った子どもほど、きちんと自立していく、というのです。
これ、似たようなことを、内田樹さんもよくおっしゃっていて、最近、読んだ本にもやはり強く書いていらっしゃいました。手元にないので、引用ではなくて、記憶にたどって書いてみますね。正確ではないのでお許しください。
―――― 子どもが家を出ていく時、「つらいことがあったらいつでもここに戻っておいで」。「いつでもここに戻っておいで」と言われる場所がある、と知っていることが、子どもに安心を得て、自立する。そういわれた子は逆に戻ってこない。
子どもを自立させるために、「ここにはもう戻ってこないつもりで出ていけ」とか「戻る場所はないんだぞ。そういう覚悟で生きなさい」と叱咤激励してしまいがちだけど、そうではなくて、「いついでも戻っておいで」と言うことのほうが、かえって自立させる ―――――
そんな内容でした。
なるほどー。目からうろこですねー。「戻る場所はないぞ」ではなく「いつでも戻っておいで」のほうが、自立を促す、というのは、「初孫本」に書いてあることと基本は同じだと思いました。
そういえば、松尾睦さんが、以前、「人材教育」誌(←おそらくこの号だったと思います。)に寄せられていた文章で、こんなくだりがありました。新卒から若手世代への企業におけるOJTについて書かれたものでした。これまた手元にないので、記憶頼りに。
新卒新入社員のOJTで大切なことは、まず第一に「組織になじめるようにすること」。ここにいていいんだ、仲間なんだといったような安心感与えていくこと。 チャレンジさせていくのは2年目から。1年目はまずは、人間関係、組織の中に入らせていくこと。
・・・たぶん、文章としては全然違うと思いますが、ニュアンスはそういうものでした。
これを読んだ時、非常に言葉は悪いのですが、「盲導犬の訓練」と同じだなぁ、と思ったものでした。
盲導犬は、訓練前、生後1年間、一般家庭で精いっぱい愛情を注がれて育てられる。そこで精神面などを安定させ、1歳になったら、盲導犬訓練所で厳しい訓練を受ける。そんな育成の仕組みになっているのを以前、TV番組で見たことがあります。
ここに挙げた例は、いずれも、「あなたのことを愛しているよ」「あなたの居場所はここだよ」「あなたは私たちの仲間だよ」「何があってもあなたのことをここで見守っているよ」「何かあったら帰る場所はここだよ」ということを示してくれる存在があり、その存在を信じらえれる時、人は、「自立できる」ということじゃないかと思うのです。
あれこれ、大勢の話を引き合いに出しましたが、「安心感」って大事ですよね。 何があっても大丈夫、ここに帰れるから、この人がいるから、と思える時、人は大胆に挑戦もできる、精いっぱい頑張れる。
上司や先輩が、部下、後輩に「自分で考えて、動き、高い目標に挑戦するような人になってほしい」と思うのであれば、最初にあるべきは、この「安心」できる環境や関係、存在なのではないのかな。
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わたくしごとですが、明日から夏休みです。
10連休♪
国外逃亡しないので、ブログはゆるゆると書いていきます。