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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

OJTトレーナ-になって初めて、上司や先輩のキモチがわかった

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7月に入っても、まだまだ企業のOJT支援が続いています。今日は東京、明日は大阪という飛び回っています。東京・大阪の往復も慣れてくるとあっという間に感じるようになるものです。

昔は、新幹線に3時間近く座っているだけでお尻が痛くなったりしましたが。

さて、今年のOJTトレーナーの方たちは、全国どこへ出向いても、何かが違います。何かが違うというよりも、はっきり言えば、「前向き!」です。

私の体感値では、IT業界と限らず、どの業界でも「OJT」を制度化しましょう、となったのは2003年ごろのことです。OJTと言う名の現場任せ新人指導から、人事や人材開発がリードして、若手を制度として育てようという仕組み。それが「OJT制度」です。

2003年も2005年もあるいは2007年も、あちこちの企業で「OJT制度」が発足したところからお手伝いしていますが、現場では「なんでこんなに新人に優しくしなければならないのだ」「私たちが新人だった頃、こんな風に育ててもらってないぞ」「承認?傾聴? 部下や後輩に迎合しろと言うのか?」といった声が多数持ち上がり、研修の講師として出向いている私にも矛先が来て、怖い思いをしたこともあります。(冷や汗

「企業が人を育てること」に対して「総論は賛成」だけれど、「自分がその任を担うこと」に対しては「各論として反対(というか抵抗ありあり)」という感じだったような気がします。

しかし、制度化されて10年もたつと(企業によっては3年目だったり4年目だったりまちまちですが)、自らもOJTで育ててもらったという方がOJTトレーナーになりますし、OJTが「案外人をちゃんと育てる仕組みになっている」と実感したり、「離職やメンタル問題を予防しているみたい」となんとなく気づいている方も増えてきて、「OJT制度化」が現場で「当たり前」のものとなってきているのではないかと思います。

そんな歴史があってか、今年のOJTトレーナー研修というのは、冒頭で申し上げたように「前向き!」な空気が漂っているのです。企業に関係なく、どちらに出向いても、です。

「後輩指導しながら、自分も成長したいなあ」とか「自分のころと時代が違うのだろうから、その違いも抑えつつ上手に成長支援したいなあ」などとおっしゃる方が多く、ディスカッションを取り入れても、話の中身が「前向き」で、聴いていて気持ちよいくらい。

どのような制度でも最初は「嵐のような抵抗」に合い、浸透するまでには時間がかかりますが、人事や人材開発の方が強い意志で推進しているうちに人の心もついてくるのですよね。

OJTトレーナーに任命された方も最初は多少抵抗があったとしても、新入社員の成長支援をしているうちにいろいろなことを考えさせられ、内省が深まり、多くの気づきを得るようです。

ある時、OJTトレーナーを1年担当し終えるというタイミングで、こうおっしゃった方がいました。

「いやあぁぁ、ほぼ1年間新人の面倒を見てきて、しみじみ思ったことがあります。自分が新人だったとき、当時の上司や先輩がいかに我慢強くボクに接していてくれていたか、どれほど忍耐強く話を聴いてくれていたか、どれだけ丁寧に教えてくれていたか。・・・イライラしたこともあるだろうし、呆れたことだってあっただろうけど、本当に辛抱強く見守ってくれていたんだなぁ・・・と。 今頃だけど、上司や先輩に感謝のキモチが湧いてきました」

・・・

「子を持って知る親の恩」

という言葉がありますが、

「後輩を持って知る上司や先輩の恩」

といったところでしょうか。


ところで、
「今までは感謝していなかったのですか?」と突っ込むと、
「ええ、それほど」と微笑みながらの返事。

「ところで何年目ですか?」
「4年目です」
「えーー、3年間、感謝してなかったのですか? だったら、OJTトレーナーになってよかったですね」
「そうですね(・・・ニガワライ)」

驚いたものの、わかるような気もします(笑。

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