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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

内定者のケアにもいろいろあります

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企業の新卒採用時期がどんどん早まった結果、内定期間が長くなり、内定者(学生)の不安も増大、という話を聞きます。私は、入社後の人材育成がメインの仕事なので、就職活動事情とか内定者事情とかあまり詳しくありませんが、イチ学生の気持ちを想像すれば、理解はできます。

実際、入社3年目の時に私も同じことを感じ、上司にかけあって、「内定者を1日集めるイベント」というのを企画したことがあります。内容は、以下のようなものです。

●午後、内定者を全員会社に集める。全員、「講師」の卵として採用されている(DECは職種別採用だったので、インストラクタになることは内定済み)
●簡単なオリエンテーション後、顧客向けの公開講座に1時間ほど参加してもらう(自分の将来の姿を体感)、感想を交換
●オフィスツアー (私たちのオフィスをぐるぐる見て回る)
●事前に集めておいた先輩社員の「1週間」というカレンダー(4-5種類)を見せ、会社でどんな風に仕事が進行するか、1日のスケジュールはどうなっているかの解説をする
●若手社員(+課長)に同席してもらい、内定者からの質問に答える (休暇取れますか?とか、上司にお中元など贈るべきなんでしょうか?とか、ほほえましい質問も多々ありました)
●18時くらいから懇親会(食事会)

私が全体のコーディネーションとファシリテーションを行い、課長や同僚に協力してもらって行いました。 23年くらい前の話です。

内定期間が半年もなくても、やはり、不安はあったのですよね。だから、こういうイベントを企画したわけです。このイベントは好評でした。

今は情報過多の時代ですから、内定期間の長さと相まって、内定者の不安は増すばかりかもしれません。

そんな中、なるほど、と思う例をお聞きしました。

配属後には「OJT担当者」が一人の新入社員に対して一人つく、ということはすでにトレンドに近いものがあると思いますが、内定期間にも「世話役」を決めておくのだそうです。

内定式あるいは内々定の集まりの際に、若手社員が内定者に割り当てられ、「何かあったらいつでも質問、相談してくださいね」とメールアドレスを伝えておくんですって。

それにより内定者(学生)から頻繁に連絡があるか、というとそうでもないようなのですが、「いざとなったら、相談に乗ってもらえる」という先輩が決まっているというのは心強いものなんじゃないかと思います。人事部に尋ねるほどのことではない、けれど、家族や友人など無関係な人に質問しても、ピントの合った回答がくるかわからない、といった些細な疑問、不安というのはあると思うからです。それに、入社した後も、すでに知っている先輩がるということは心強いことでしょう。

「スーツを買おうと思うけれど、入社後にふさわしいものってありますか?」とか「引っ越すなら、どの辺りの地域がよいでしょう?」とか、ちょっとしたことを尋ねたいことってあると思いますから、「内定者担当世話役」はいいアイディアだと思います。(私は今回初耳だったのですが、色々な企業でなさっているのかも知れませんが)

「世話役」は、若手社員から選ばれるようです。若手が担当することで、この若手社員にもメリットはあるはずです。

「いよいよ、新入社員が入ってくるのか。自分はさらに1年先輩になるんだなあ」と自覚が高まるでしょうし、入社してきた若手に最初から情を感じることもできるでしょう。

双方にメリットがあると思うのですよね。内定者の世話役。

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