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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

CS(1):プロダクトの質と提供者の感じよさ

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昨晩(12/14)は、営業部である「打ち上げ的」呑み会があったので、21時から参加しました。遅れて参加した私に、かなり真赤な顔をしている営業の面々が話すには、お店の対応がちょっと・・・だったとのこと。

その店は、色々な機会で使っているところです。さほど繁盛はしていません。

昨日も、彼らが19時に店に入った時点で何席も空いていたそうです。予約時の人数より1-2人増えていたので、「スミマセン、少し増えたのですが」とお詫びしつつ店に入ると、まっさきに言われたのが、

「いつもご利用いただいてありがとうございます」
でも
「いらっしゃいませ」
でもなく、

「人数が増えるなら前もって言っておいてもらわないと困るんですけどぉ」
だったそうです。

料理は予約しておらず、10人と人数を伝えただけ、レストランは空席がたくさんあった(その後も予約客はなかった)、などの条件で、「前もって言っておいてもらわないと困るんですけどぉ」と。

よく利用しているのに、開口一番これだったので、ぎょぎょっと思ったということでした。(もちろん、飲食店側にしたら、「そーゆうの困るんですけど」というのはわかります、わかりますが、言い方、言う順番ってあるんじゃないかしらん?)

たとえば、
「いつもありがとうございます。12人になったのですか、じゃ、席を作るのにちょっとお待ちいただけますか?」
座ってしばらくしてから、
「早めにご連絡いただくと、もっとスムースに案内できますんで、そこんとこ、よろしく」
ってな展開とか。

で、こういう出だしで何か?というと、
夕べ2時間ちょっとの社内研修を行いました。CSのカリスマ講師という方を外部からお招きして。

私は企画者の一人だったので、事務局として参加するとともに一受講者として真剣に聞き、たくさんのメモを書きました。とても多くの学びや気づきがあったので、これから何回かに分けて紹介していく予定です。
(中身としては「そんなの当然だよ」と言う声はあるかと思いますが、我が身に置き換え、自分だったら、それを「どうやって体現しているか」と問われたら、案外言葉に詰まることが多いように感じました)

まずは、「プロダクトの質」と「提供者の感じよさ」について。

製品・サービスの質が高い、というのは、もうとーっても当たり前のことで、これだけの代金を支払うのだから、製品の質は高いはずだよね。もし、質が悪かったら、「ダメじゃん」ということになる。

でも、その製品やサービスの提供は、必ず人を介す。人を介すということはどういうことか。

お客様に対する感じよさが、製品の評価にまで影響してしまう。

うん、上記のレストランなど、まさにそういうことなのかも知れません。

感じよさにはいろいろなものがあるけれど、たとえば、挨拶とか笑顔とか、新人研修で学んだりしますよね。

挨拶は何のために。笑顔は何のために。

「ビジネスマナー」と言うくくりで「マナー」と言ってしまうけれど、そのマナーは、「プロダクトの良しあし」を決定づける可能性がある「人の感じよさ」につながるから。

それから、

「お客様の役に立ちたい」という想いを心底持っているか。

エンジニアが技術力を高めるのは、自分がその技術が好きだから、とか、自分のマニアックさを追求して、ということではなく、「お客様のお役に立ちたい」からこそ、「技術力を高める」「勉強を欠かさない」ということなのだ、と。

仕事の仕方を日々工夫し続けるのも、より「お客様にお役に立つ」ことができるようになるため、なのだ、と。

全部全部、言われてみれば当然、当たり前なのです。

そうなのですが、

「勉強する」って何のため?と言われたら、つい「自分のスキルアップのため」と答えてしまいそうになりませんか?

「自分がもっと実力をつけたいから」とか「わからないことが多いのは気持ち悪いから勉強してます」とか「好奇心を満たすため」とか、どうしても、内向きの理由になる。いや、もちろん、「やりたいから勉強する」という”内発的動機”は大事ですけれど、その先にあるものは、「お客様にいまよりももっと”役に立ちたい”から学び、知識やスキルを付けているのだ」「今、知識やスキルを身に着けることは、お客様に”役に立つため”なのだ」と、そんな風にしっかり考えたことはなかった気がします。(スミマセン)

お客さまに役立つということは、お客様が満足され、さらに、「じゃあ、次もあなたにお願いしますよ」「次もお宅に依頼するね」と言われる連鎖を生み出し、そうやってもたらされる売上、そして、利益から自分たちの給料が支払われる。

その、あまりに「当たり前」なことを、つい忘れそうになる。

給料は社長が支払ってくれるわけではなく、お客様が製品・サービスの対価として支払ってくださる代金の中からしか生まれない。

その対価として支払う、というのは、一回かぎりではなく、できるだけ、繰り返し、になることが望まれる。いわゆるリピーターですね。

そのリピーターを育てるのは、誰なのか?

経営者か? 経営者やマネージャが一人ひとりの顧客と直接接し、満足していただき、・・・なんて無理でしょう?

だったら、前線にいる、一人ひとりの社員が、それをしなければならない。

あなたの目の前のお客様をリピーターに育てるかどうかは、あなたにかかっているのですよ。

それは、プロダクトの質を高くする、ということと共に、この人に提供してもらってキモチよかった、いい気分になった、というその2つの要素から実現するんですよ。

・・・そんなお話しを聞いたのでした。

今回の研修は、これで終わりにせず、「外部講師の話をきちんと聞く」フェーズ(12月中にもう1クラス開催)、「社内で具体的活動に移す」フェーズ(1月以降)と「流れ」で考えています。

自分なら何をするか、自分たちなら何をすればよいのか、を具体的な行動で考える、というのが、年末年始、一人ひとりに出された宿題です。私も企画者側として、その宿題をこれから考えていきます。

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