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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

言い方ひとつで変わる印象

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昨日は1日静養と称して、のんびり自宅で過ごしていました。(口の中の傷はだいぶ痛みも引きました。しゃべるのも問題ないですし)

で、日中、ちょっとだけ買い物に出たところでの出来事です。

70代くらいの女性が「メンバーズカード」を作るべく、レジのところで名前を書いていました。店員さんは、「このカードは、次回からポイントを付けますので、お忘れにならないように」と説明しています。

女性は、その店を初めて利用するらしく、

「定休日はいつですか?」

と尋ねました。 すると、レジの女性は、

「そのカードにも書いてありますが、火曜日ですよ」

と答えました。

・・・このやり取りが、妙に頭にひっかかって、帰途、ぐるぐる考えてしまったのです。

「定休日はいつですか?」
「そのカードにも書いてありますが、火曜日ですよ」

これ、言う順番を変えてみたら、ぐんと雰囲気が変わるはず。

「定休日はいつですか?」
「火曜日ですよ。そのカードにも書いてありますよ」

あるいは、

「火曜日ですよ。そのカードにも書いてありますので、わからなくなったらカードをご覧くださいね」

など。

「カードにも書いてありますが、火曜日ですよ」は、不親切な感じを少し与えたような。

なぜか。

たぶん、

「定休日はいつですか?」と「When」と尋ねているのだから、まずは「Day」を答えてあげるのが親切です。

「カードに書いてある」は補足情報です。だから先にそれを言うより、まずは、質問にはストレートに答え、その上で、「そのことは、カードにも記載されている」と言えばよかったのですね、たぶん。

・・・・・

店員さんは、にこにこしているとても親切な方でした。だから、本当に悪気なかったと思います。

とはいえ、時に、人は悪意は全くないのに、言い方ひとつで不親切な感じ、ぶっきらぼうな印象、失礼な空気を漂わせてしまうことがあります。
(私もそれで何度も失敗しました。)

私が仕事上、とてもとても気を付けているのは、

「(あなたは)間違っている」

という表現を(極力)使わないことです。

ヒューマンスキルという、正解が一つに決まらない分野を担当しているからこそのことだと思いますが。

仮に、
「ああ、それは、まずい発言ではないか?」と思う意見が飛び出ても、

「○○さんは、そうお考えになるのですね、なるほど」と一旦は受けて、その上で、「たとえば、こういう視点がありますが、いかがでしょう?」とか「うーん、私は、こう思ういます(そうは思いません、ではなく、こう思います、という肯定文にするようにしています)」などと応じるのです。

これは、以前、友人から聞いた話がきっかけです。

彼女は、国際的な仕事をしていて、あるとても著名な女性と会議で同席したことがあるのだそうです。世界相手に仕事をしているこの方が外国人(アメリカ人だったかイギリス人だったか・・・・)と会食時に会話しているのを、末席で聞いていた友人。

外国人の男性が、とても極端な意見を述べた(日本に対する大変な誤解など)ところに、普通なら、"You are wrong."と言いたくなるだろうに、どうなるだろう?と見ていたら、、"Oh!, you think so? I think ..."と続けたというのです。そして、男性も自分の意見とは真っ向から異なる論を楽しそうに聞いていたというのですね。


すごーい、すごーい。と友人は、コーフン気味に話してくれました。

「あなたは間違っている」

と言わずに、

「おお、あなたはそう思うのね。私はね、・・」と続けて、自論を展開する。

「I」を主語にして表現すれば、相手を不快にさせることもありません。

そもそも、「間違っている」とは、なかなか勇気のいる表現です。言い切るのは怖い。 自分が知らないこともたくさんあるし、自分の勘違いということもある。それでも「間違っている!」と指摘してしまうのは、まるで、喪黒福作(もぐろ・ふくぞう)のように、指さして「だーーーーーーーーー!」と言うような感じになってしまう気がするのです。

・・・会話は相手とのやり取りなので、自分と相手の両方に配慮する、ということが必要だと思っています。だからこそ、アサーション(Assertion)という考え方も少しずつ浸透してきたのでしょう。

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