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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

人間関係をより良くする3つの「L」(ヨゼフ・ピタウ先生)

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これまでに「会話しているだけで、涙がこぼれた」という相手はただ一人。ヨゼフ・ピタウ先生です。

元上智大学学長としても有名な方ですが、私が入学した1982年にはすでに退任されていて、ローマのイエズス会に赴任なさっていました。

1989年新婚旅行でローマを訪れた際、夫(モトですが)が「ピタウ先生を訪ねてみよう!」と言い出し、アポなしで訪問したら、なんと逢ってくださったのです。「上智の卒業生ですか。それはそれは。ぜひぜひ逢いましょう」と。教え子でもないのに、超ご多忙であったでしょうに、とにかく、ちゃんと応接室に通してくださって、20分くらいはお時間取ってくださった、という記憶があります。

何のお話しをしたのか、まったく思い出せませんが、とにかく、お話をうかがっているだけで、涙がじわーっと出てきて、こぼれ落ちたことだけは鮮明に記憶しています。

私はカソリックでもなんでもなく、特別な信心は持たず、ピタウ先生ともこの時は初対面。それでも、なんだかわからない「ありがたい」オーラが全身から私に向かって届いて来て、感動したとか嬉しかったとかそういうことではなく、ただただ、その「ありがたさ」に涙があふれたのでした。

あれは、本当に忘れがたい体験です。本当の宗教家って、そういう空気をまとっているのかも、と思ったものでした。

この夏のある日、私は卒業25周年記念式典で上智の講堂に向かいました。(上智大学は、全学で1万人くらいしか学生がいないためか、卒業生にも手厚くて、卒後15年、25年、50年の3回、母校に招いてお祝いをしてくれるのです。)

その式典の際、ピタウ先生に「名誉」なんとか(←なんだか忘れました)を授与されるということで、スピーチをなさいました。90歳近い年齢かと思いますが、大きな張りのある声で、東日本大震災のことへの祈りの言葉などを述べられていました。

その声を聴き、22年前にローマで逢っていただいたことを思い出し、そうだ、ピタウ先生の本を読んでみよう、と手にしたのが『愛ある生き方』です。

「ああ、そうだなあ」
「なるほど」

と思う内容が並ぶ本でした。

この中に、人間関係をより良くする3つの「L」という話が出てきます。

●Look (相手をよく見る。特に、良い所を見る)
●Love (相手を愛する。大切に思う)
●Laugh (笑っている)


Lookの節では、Educationという言葉について以下の解説があります。引用します。

「教育のことを英語ではEducationといいますが、これはラテン語の動詞「educere」が語源です。「educere」とは「いいところや可能性を引き出す」という意味ですから、「生徒や学生の可能性を最高のところまで引き上げる」のが本来の教育です。」

「教える」と訳してしまうので、上から目線な感じがしなくもない言葉。だから、最近、人材育成の世界では「Learning」(学ぶ)の方をよう使うように思いますが、もともとは「可能性を引き出す」なのですねぇ。

上司や先輩ができることがEducateで、
部下や後輩ができることがLearnなのかも知れません。
(いや、もちろん、同僚同士でも上下逆転でもよいのですが)


Laughについては、どんな時であっても微笑みを忘れなければ、希望の光は消えない、といったことが書いてあります。
ホント、辛気臭いの、嫌ですもんねぇ。

というわけで、今日もLaughを大切に一日を過ごすことにいたしましょう♪ 

愛ある生き方

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