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「しごと」をもっと楽しくしたい!

【第1話】「仕事の果てに」―物語:インストール

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こんにちは、竹内義晴です。

私は、コミュニケーショントレーニングや、コーチング・カウンセリングを行っている仕事柄、いろんな立場の方から、仕事の中で起こっているさまざまな問題を伺う機会があります。

さまざまな問題を伺っていると

  • 職場におけるリーダー層のコミュニケーション力の問題
  • メンタルヘルスに課題を抱えた従業員への関わり方の問題
  • 医療機関の問題
  • 課題を抱えているご自身の問題

など、いろんな現場で、いろんな問題があることに気づきます。

それらが原因で人間関係が悪く、ストレスになったり、うつにならなくてもいいのに、うつにされてしまったり、ちょっとした「思考のクセ」でご自身の可能性を制限してしまう……

そんなシーンに触れてきました。

一方、それらの課題を乗り越えていかれるみなさんのシーンにも触れてきました。それは本当に感動的で、いろんなシンクロニシティも起こり、「この仕事をしていて本当に良かった」と思うことは数知れずです。

それらの実話を、みなさんにお知らせすることができたら、きっと多くの方が

「あぁ、もっと素直に生きていいんだな」
「仕事って、もっと楽しくてもいいんだな」

と思えるんじゃないかと思いました。

けれども、実話だけに、そのままお伝えするのができないことが残念に思っていました。

あるとき、こんなことに気がつきました。

「実話をそのままお話することはできないけれど、話の構成はできるだけそのままに。そして、いろんな設定をフィクションに書き換えてお伝えしたら、これまでいろんな課題を乗り越えてきたみなさんの体験が多くの方に役立つんじゃないか」

そこで、小説タッチにお伝えすることにしました。

ですが、いくつか気をもんでいることがあります。

1つ目は、エンディングが決まっていないこと。

ある区切りまでは書き終えています。そこで完結することもできます。しかしながら、ひょっとしたら、主人公はそれからも成長していくかもしれません。終わりがどんな形になるのか今のところわかりません。それはそれで、書きながら楽しんでいこうと思います。

2つ目は、ほかのエントリーが書けなくなること。

何回か続けてアップすることになるかと思いますが、その間、オルタナに書きたいことが書けなくなってしまいます。それは、個人のブログにアップすることにします。

3つ目は、タイトルをもっとキャッチ―にしたいこと。

本当は、「○○の法則」とか「魔法の○○」みたいなキャッチ―なタイトルにしたかったのですが、まぁ、いいタイトルが思いつかない(笑)。そこで「根っこが変わればすべてが変わる(仮)※インストールに変わりました」で、始めます。途中で変わるかもしれませんが、その時はごめんね。「物語」のカテゴリをつくりました。エントリーはそこにあります。

と、いろいろ気をもんでいることはあるのですが、考えていても始まらないので、とりあえずはじめます。

これからお伝えするお話は、いくつかの実話を元に構成されています。素人が書いたお話です。適当に読んでみてください。

■□■

■第一話 「仕事の果てに」

1_5  公園のブランコに身を任せながら、タツヤは肩を落としていた。

 「平日に会社を休んだのはいつぶりだろう?それが、こんな最悪の日になるなんて……」

 タツヤは36歳、大手IT企業に勤める中間管理職。1年前に管理職の仕事を任されるようになった。8人の部下を抱え、忙しい日々を過ごしていた。

 残業や休日出勤の毎日で、なかなか休みも取れていない。それでも今までは、がんばることがやりがいにつながっていたし、がんばれる自分のことがちょっと好きだった。

 けれども、ここ2週間ほど、朝になるとなぜか吐き気がして気分が悪い。「会社に行こう」と思い、とりあえず自宅を出るものの、思いとは裏腹に、足は会社ではなくカフェに向かってしまう。そこで2時間ほどつぶし、やっと重い腰をあげて会社に向かう日々が続いていた。

 上司の笠原には、「客先に出向いてから出社します」と電話で伝えていたが、この言い訳もそろそろ限界だ。

 (どこか、具合でも悪いのだろうか?)

 病院は好きじゃない。だが、あまりに症状が長引くので、有給をとって病院に行こうと、決めた。

 タツヤには、メンタル面で体調を崩し、休職している部下が1人いた。彼はおとなし目で、新しい人材を入れてくれるように上司の笠原に頼んではいるが、一向に動いてくれている気配がない。休職している部下の分の仕事も抱え、ここ3か月は肉体的にも、精神的にも手一杯だった。

 (まさかオレまで……うつじゃないよな)

 そんな思いを抱きながら家を出ただけに、うつと診断されたのがショックだった。

 (オレはどうなっちまったんだ?そして、この先どうなるんだ?)

 落ち込んだ。それはまるで、底の無い沼に突き落とされたような、そんな気分だった。どうしたらそこから這い上がれるのか、見当もつかない。

 「ふぅ~」

 何気なくケータイの時計を見たら、病院帰りに公園に寄ってから2時間ほど過ぎていた。

 (ここにいても仕方がない。ウチに帰ろう)

 来た道を、歩いた。

■□■

 自宅のチャイムを鳴らすと、妻のサトコがドアから顔を出した。

 「どうだった?」

 「う、うん……」

 サトコは、不安そうな表情でこっちを見つめている。心配をかけたくないと思ったタツヤは、「最近、体調が悪いから病院へ行く」とだけ伝えて、ウチを出ていた。

 (うつなんて、サトコに何と説明したらいいんだろう……)

 そんな思いが、浮かぶ。サトコには心配をかけたくない。何かいい言い訳がないかとも思ったが、そんな思考力は残っていなかった。

 「うつだって」

 そう言って、ぎこちない笑顔を無理に作って、ビニール袋一杯の薬を、見せた。

 「そう……でも、きっと大丈夫よ。今まで忙しかったから、ちょっと休めって合図なんじゃない?うつは早い段階の治療がいいって言うし、きっとすぐに良くなるわよ。今、布団を敷くわね。とりあえず、横になったほうがいいわ」

 布団を準備してくれているサトコを横目に、会社の上司、笠原に電話を入れた。

 「もしもし、菊池ですけど……実は最近、ちょっと体調が悪かったので病院に行ってきたのですが、うつと診断されまして……」

 受話器の向こうから、何か重苦しい空気が伝わってきた。

 「そ、そうか。う~ん、次のプロジェクトもあるのに困ったな。まぁいい。じゃあ、しばらく休養が必要ということだな。とにかく2~3日は様子を見よう。こんなときどうすればいいか、人事と相談してみるよ。状況が変わったら連絡をくれ。お大事にな。」

 笠原はそういうと電話を切った。「お大事にな」という言葉が、なんとなく、他人行儀に聞こえた。気分が悪い。それが、うつによるものなのか、それとも、オレの心配の前にプロジェクトの心配する笠原に腹が立ったのかはわからないけど。

 (とりあえず、もらった薬を飲んで寝よう)

 サトコが、コップに水を入れてきてくれた。ビニール袋から薬を取り出した。

 (つづく

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