【プリウスブレーキ問題】プリウスを安全に運転するために~元ブレーキ屋の立場で~
プリウスのブレーキが問題となっていますね。これをお読みのあなたがプリウスにお乗りなら、「ボクの(わたしの)プリウスは大丈夫なのか?」と、きっと不安を抱かれているのではないかと思います。せっかく手に入れたプリウスに愛着を持っていればいるほど、心配ですよね?
「どのようなときに、その現象が起きるのか?「どのように運転すれば安全なのか?」という情報が少しでもあれば、あまり恐れることなく、プリウスを安全に運転できるかもしれません。
私は以前、ブレーキ(ABS:アンチロックブレーキシステム)の仕事に携わっていました。その立場から、「プリウスを安全に運転するために」というお話をしてみようと思います。
なお、今回のお話は、私自身が報道で知りえた情報を元にしたお話です。それ以外の現象が起きている場合、今回のお話がすべてに当てはまることを保証するものではないことを前提に、読んでいただければ幸いです。
このお話の前提
今回は、次の映像で見た情報を前提にお話しています。
プリウスの中で、何が起きているのか?
プリウスで起きている現象を、上記の映像の内容を元に、まとめると、次のようなことが起きているようです。
- プリウスは、燃費向上のために回生ブレーキを使っている(回生ブレーキとは、ブレーキをかけた際に発生する熱を電力に変換し、利用する仕組み。)
- タイヤが滑りやすい路面(湿ったマンホールの上、凍った路面、雪道など)を走行中に、ブレーキを踏み、タイヤがロック(ロックとは、車は動いているが、タイヤが止まってしまっている状態。急ブレーキなどの映像でよく見かけますね)しそうになった場合、ハンドルが利かなくなる状態を防ぐために、ABS(アンチロックブレーキシステム)を作動するように切り替える。
- 切り替わる際に、1秒ほどのタイムラグが発生し、ブレーキが「抜けた」感じが起きる。
発生する頻度(推測)
上記の情報番組の映像にあるように、タイヤがロックするような路面が多い雪国では、その現象を多く確認できるかもしれませんが、雪がないような地域では、あまり体験することはないでしょう。
映像の中では、「路面に段差がある場合」とありますが、瞬間的にタイヤが路面から浮いた場合など、浮いたタイヤだけがロックすることによって、同じような現象が起きることがあるかもしれませんが、稀といえば稀です。
ですから、「全然気にする必要はないよ」とまでは言いませんが、あなたのお住まいが降雪地ではなく、一般の道路を運転しているのでしたら、さほど神経質になる必要はないのではないか?というのが私の意見です。
プリウスを安全に運転するために
報道の情報を信頼すれば、「ABSが作動しなければ、この状況は発生しない」ということを意味するのではないかと思います。つまり、「ABSが作動しないような運転を心がければよい」ということになるでしょう。
雪道や、凍結が多い今の時期。タイヤがすべることを想定できる場合には、タイヤがロックしないようにいつもよりブレーキをじんわり踏んだり、ポンピングブレーキをかけながら止まるような運転をするといいのではないかと思います。
また、もし現象が起きたとしても、一度でもその動きを体験していると、気持ち的に安心できます。路面が凍結しやすい、雪国にお住まいの方なら、ぶつかるものが何もない広い駐車場などに行って、今回の現象はどのようになるのか?を一度体験しておくことで、不安感はずいぶんと和らぐでしょう。
参考
新しいシステムが搭載された車に乗ると、「どのような動きをするのか」という体験がないために、そのシステムが初めて動いたときに、ドライバーは非常に違和感を覚えます。
たとえば、今では多くの車に標準装備されるようになったABSも、わたしが、初めてその動きを体感したときは、急にブレーキが抜けた感じがして、非常に違和感を覚たことを思い出します(ABSの動作としては正しい動作をしています)。
この、ABSの動作に対し、「ブレーキの不具合だ」と訴えるユーザさんもいらっしゃいました。
今回の「回生ブレーキの現象」は、ABSの動作とは異なりますが、メーカーさんの説明では、「お客様の感覚と、車両の挙動が少しずれていることによって・・・」と説明しています。メーカー側からしたら「こういうもの」、ユーザ側からしたら、「不具合」・・・そのようなギャップが生まれているのではないかと。だからといって、「こういうもの」のほうが正しいというつもりはもちろんありません。ユーザが違和感を抱かない車のほうが、いいに決まっていますからね。
いずれにしても、メーカーさんは対応するとのこと。ユーザの声に早く対応してくれるといいですね。それには、もう少し時間がかかるかもしれませんし、その間はご不安だと思いますが、むやみに不安がることもなさそうです。あなたのプリウスを今までどおり、愛着を持って運転していただけるよう、ご参考になれば幸いです。