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職場のギスギス感を作り出すのは? 表情、視線、口調、態度によってマイナス感情は伝播する ──非言語コミュニケーション

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はじめまして高田です。システムエンジニア歴約20年。主に金融機関向けのシステム開発に携わり、今も現役のシステムエンジニアとして金融機関のシステム開発プロジェクトで仕事をしています。システムエンジニアというと技術的な内容を期待される方も多いかと思いますが、本ブログでは開発現場における「人間関係」であったり、「コミュニケーション」であったりと、ヒューマンスキルについて書かせていただきます。職場で抱える人間関係やコミュニケーションに関する悩みを、心理学的手法によって解決する方法をお伝えします。どうぞよろしくお願いします。

相手の感情は非言語から読み取る

さて、人はどこから相手の感情を読み取るだろうか? アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンによれば、人は言語メッセージよりも非言語メッセージからの情報を信用するようだ。その割合は言語メッセージが7%に対し非言語メッセージが93%とのこと。言語とは言葉そのものであり、非言語とは話し手の表情、視線、口調、姿勢、態度などである。

例えば、会議で部下が要領を得ない報告をしているときに、上司が指で机をトントンと叩いていれば「イライラしている」と読み取ることができる。聞きながら眉間にしわを寄せていれば「不愉快そうだ」と読み取ることができるだろう。話しながら腕を組んでいたりすれば、「納得できない」とか「不安だ」といったネガティブな感情を持っていることを読み取ることができる。

裏を返せば、非言語を変えるだけで伝わる感情を意図的にコントロールできるということだ。会議で部下が話すときは安心して話せるよう柔和な表情を作ったり、話に相槌を打って関心を持っていることを伝えたり、誠実さを見せるために相手の正面を向いて話をしたり。たとえ不愉快な気分であっても、それを伝えないようコントロールできるということになる。

開発現場ではネガティブ感情が伝播しやすい

わたしたちSEの職場はネガティブ感情が優位になることが多い。現場で初めて一緒に仕事をする人たちに囲まれて緊張していたり、無理なスケジュールを押しつけられて不満を抱えていたり、意見が対立して不愉快な想いをしていたり。

さらに、そのネガティブ感情を一人の人間が持ち始めると、それが伝播してまわりの人たちにもネガティブ感情を植えつけてしまう。負の連鎖だ。この負の連鎖を放置しておけば、職場全体にギスギス感が蔓延してしまう。だからどこかで誰かがこれを断ち切らなければならない。断ち切るためには非言語メッセージを変えること。にっこり笑って話す、ゆっくりとしたスピードで話す、低く落ち着いた声で話すなど、相手に緊張感、焦燥感、切迫感を与えないことが必要だ。

SEが特に気をつけたい点を記載する。

1.相手を向いて話す

話しかけられたときにはキーボードを打つ手を止めて、相手を向いて話をする。キーボードを打ちながらでは聞いてくれているのか相手を不安にさせてしまう。また、きちんと相手を向くことで誠実さを伝えることができる。仕事が忙しくても人の話は相手の顔を見て話をしよう。

2.落ち着いた口調で話す

議論が熱くなってくると説明することに熱心になるあまり、早口になったり声が大きくなったりすることがある。早口で大きな声だと、攻撃的に聞こえてしまう。部下や後輩の場合、相手を萎縮させてしまうだろう。不安を与えずしっかりと議論するためには落ち着いた口調で話をすることが大切である。

3.穏やかな表情で話す

議論に集中すると、話す内容に意識がいき頭の中を高速に回転させてしまう。そのときの表情はたいてい、眉間にしわを寄せてたり、笑顔でなかったり、不愉快に感じているようにとらえられてしまう。顔の一部が緊張で強張っていないか注意が必要である。

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