独立して実感した会社の庇護
前回のコラム「富士ゼロックス、最終出勤!」に書きましたように、筆者は27年あまり勤務した富士ゼロックス株式会社を退職し、7月1日付けで独立しました。今回は、退職を機に感じた会社勤めの恩恵について書いてみたいと思います。
■サラリーマンは気楽な稼業と来たもんだ!?
若い頃は「ドント節」(歌:クレージーキャッツ、詞:青島幸男)のこの台詞には反発したい気持ちも若干あったのですが、年齢を重ねるにつれて会社勤めの恩恵を感じることが増え、「サラリーマンが一番気楽だ」と思うようになってきました。2007年に2級ファイナンシャルプランニング技能士を取得し、多少なりとも知識が増えたことも一因です。しかし、自ら体験してはいなかったので、実際に退職を決めて初めて会社の手厚い庇護を実感した気がします。
■退職時に継続できなくなったものが多い
退職が決まって、財形貯蓄、社員持株会、それに団体保険の多くが自動的に退会あるいは契約解除になりました。継続可能な保険は差し当たり続けることにしましたが、今年度分は一括納付する必要がありました。
■健康保険、年金の負担が増加
痛いのが健康保険です。会社員であれば会社が半分負担してくれるのですが、これが全額自己負担になります。
確定拠出年金は、個人型に移行することにしました。ちなみに、退職してからの手続きとなるため、数ヶ月は積み立てない期間ができることになりますが、金額を変更できるのでとくに問題ありません。
国民年金も自分で払うことになります。しかも、配偶者が第3号被保険者でなくなるので、二人分を払うことになります。
自分にとって有利になる変化は、そのときは嬉しいと思うものの、少し時間が経つと既得権化して当然と思うようになってしまいます。逆に不利になる変化は、これまでの生活を維持できるかどうかに関わるだけに、どうしても敏感になります。
■会社側から見ると大きな負担
このところ法人税引き下げの機運が高まっていますが、実際にはそれほど税負担は高くありません。国税庁「会社標本調査」(平成24年度)等に基づき財務省で推計した値では、平成24年度の法人税(国税)の表面税率が25.5%なのに対し、全産業平均の負担率は17.8%となっています。これで計算すると実効税率(法人税、法人住民税、事業税、地方法人特別税から算出)は30%を切るようです。
しかし、前述のように、会社から見ると雇用のために払う負担は大きいのです。売上高人件費比率などの経営指標で見ている分には、そういう実感はあまりありません。このたび独立して我が身に降り掛かってきたことを通じて、これまで意識が薄かった会社の庇護の手厚さを、我が事として実感することになりました。
■余談:ドルコスト平均法の威力を実感
本題とは違いますが、確定拠出年金や社員持株会は月々出資しているので、いわゆるドルコスト平均法の投資ということになります。ドルコスト平均法は、一度にまとめて投資せず、時間的に分散して投資することで、経済動向などによるリスクを吸収して手堅く利益を上げる手法です。これも知識としてはもっていて、確定拠出年金も社員持株会も定期的にチェックはしていたわけですが、今回真剣に見直してみて初めて体感した気がします。
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