【書評】Amazon Kindle ストア 電子書籍出版のコレだけ! 技
先日、ブログ「てくてくテクネコ」の加藤和幸さんが書かれた「Amazon Kindle ストア 電子書籍出版のコレだけ! 技 」を献本していただきました。今回はそのレビューで、できるだけ公平な評価になるよう心がけました。
■現時点で最新の書籍
筆者が2013年7月にKindle本を初めて出版したときには、ネット上の情報が頼りでした。
しかし、誤った情報が多かったことには、しばしば悩まされました。もともと誤っていたのか、仕様が変わって実状に合わなくなったのかは問題ではありません。初めての出版では、ただでさえ分からないことが多いのに、参照した時点で正しくないということが新米作家をさらに困らせるのです。
筆者が出版の準備をしていた昨夏に本書があればよかったのに、と思わずにはいられません。
■Kindle版が欲しい
本書はKindleでの出版に関するものですが、Kindle版がありません。Kindle ダイレクト・パブリッシング (KDP)の頻繁な仕様変更の影響を受けるのは本書とて例外ではなく、加藤さんによれば、脱稿時点からの仕様変更ですでに現状と合わなくなっている部分もあるということです。
印刷物で最新の状況に追従するのは厳しいので、Kindle版の方で速やかに追従するか、サポート用のWebサイトを用意するなどの対応をご検討いただけるとよいと思います。
■詳細に踏み込むべきかどうかは悩みどころ
より詳しい情報が欲しいと思う点もありました。順不同で以下に列挙します。
- Wordが出力するHTMLの修正はとても素人の手には負えない
HTMLに関する知識と、テキストエディタで正規表現を駆使するなどのスキルが必要(筆者も、Pagesが生成したHTML(正確にはCSS)には手を焼きました) - Sigilで編集するのは一般の人には無理
HTML、CSSを直接編集できるスキルが必須 - 他の電子書籍プラットフォームに関する簡単な説明
EPUBにし、検証プログラムepubcheckを通しておく(もっとも、本書のスコープ外なので、他のプラットフォームに関する説明はなくて当然ですが。)
ただ、あまりに詳細に立ち入ると読みにくくなるという面もあるので、本書くらいのバランスがよいのかもしれません。
同様の理由で、図らずも筆者が自らの経験で得た「バッドノウハウ」も、本書に掲載するのは適当でないように思います。ご興味のある方は、エンジニアライフで書いた記事「Kindleユーザーに贈るバッドノウハウ」をご覧ください。
■これからKDPで出版する方にはお奨め
少し注文が多くなってしまいましたが、これからKindleでの出版をお考えになる方にはお奨めの一冊であることは間違いありません。
なお、税務手続きは最後の章「KDPをもっと使いこなす」に記載されていますが、IRS(米内国歳入庁)での手続きは日数がかかるので、コンテンツの制作と併行して進めるべきであることを補足しておきます。