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5GそしてBeyond5G(=6G)へ

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5Gって何?4Gから5Gへ移行すると何がどう変わるの?

そんな疑問を持つ人にお薦めしたい本が、クロサカタツヤ[2019]5Gでビジネスはどう変わるのか』日経BP、森川博之[2020]5G 次世代移動通信規格の可能性』岩波新書、片桐広逸[2020]『決定版5G 2030年への活用戦略』の3冊だ。

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消費者にとってはスマホで大容量の動画が快適に楽しめるようになるし、eスポーツももっと盛りあがるだろう。でも、それだけではない。むしろ産業や社会にじわじわと不可逆的で大きな変化をもたらすということが、これらの本を読むとよくわかる。それは、あらゆるものがネットワークに常時接続されるようになって、デジタルとアナログの世界がつながり、既存のさまざまな境界が消えていくことがもたらすインパクトなのだろう。

ただ、テクノロジーの潜在力を引き出し、その恩恵を受けるためには、組織・社会のルールや慣習、風土すなわち広い意味での制度を変えていくことがとても重要になる。そして、これまでの日本ではそれが一番難しい問題だったと思う。

こうした制度面も含めて、5Gさらには10年後のBeyond5G(=6G)へ向けた日本の突破口となる可能性を持つのがローカル5Gかもしれない。すでに全国各地で、工場、スポーツ等のイベント施設、地域医療、観光スポットといった場所・地域を限定した5G利用の試みが始まっている。ローカル5Gの免許を取得できるのはユーザー自身もしくはユーザーに代わるシステムインテグレーターやCATV事業者等であり、モバイルサービスを全国展開している大手通信事業者は取得できない。そのため、ユーザーがテクノロジーの活用に主体的に関与したり、新たなプレイヤーの参入を促したりといった、制度を変えていくチャンスと受け止める必要がある。

6Gになると、ローカル・ネットワーク・プロバイダーの活躍によって通信産業のパラダイムシフトが起こるという予想も出されている。ローカル5Gによってさまざまな分野と地域でデータを活用する分散型プラットフォームの構築に拍車がかかることを期待したい。

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