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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

夜の街の賑わいと景気判断の間に感じるもの

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世の中の動向の感じ方はその人の立場も含めて人それぞれだとは思うんですけれど、時々目にする話として「夜の街の賑わいがあまり感じられなくなった」というところからの景気判断があったりします。ただ所詮私の観測範囲が狭いからか記事もコメントの類も「今でも夜遊びしてる人」の話が殆どなくて、「最近そう感じるが何故そういう流れになってるのかよくわからない」というところで大体落ち着いてる雰囲気がしています。でも実際のところは夜の街の賑わい云々は「最近」あたりからなんて話じゃなくて、バブル後は何となく持ち直したけどリーマンショック以降はだら下がりって感じなので、お前全然世の中見て無いじゃんとか生意気ながら思ってしまいます。
観測範囲が狭い私が肌で感じるところの話ですが。

 

24時間働き飲み食いするのが景気の良い証拠じゃないでしょと思うんですけれど

あくまでも個人的に思うところですけれど、たとえば終電まで飲み歩く人が多いのが景気の良い証拠とは思わないし、夜の繁華街の人通りが減っているのはゴルフの凋落と一緒で時間の過ごし方の多様化と、元々「夜の飲み食い」を主たる活動の場にしてそういう経済活動を支えていた層の高齢化による減少(経費を使えなくなってるのも含む)なので、これは一種の時代による淘汰だと思っています。知り合いの飲食関係の人に聞いても世の中全体としてのデフレ傾向からか客単価も下がりこそせよ上がる方向はほとんど見えないようで、結果的に店舗の売り上げも伸びずそこで働く人の給与やスタッフの充足状況にも直接影響するわけで、正直お金持ってる人たちが洒落たレストランとか行って高いワインあけて金使っても今の世の中の状況の改善(?)あるいは復興(?)には全然貢献しませんぜって思うんです。
観測範囲が狭い私が肌で感じるところの話ですが。

 

都心の夜の客待ちタクシーの長い列

事実、23時を回ると例えば歌舞伎町も銀座も赤坂も人の流れは駅に向かう一方通行に見えます。飲みに行った時のみならず仕事の関係で夜間に繁華街での駅に向かう人の流れを見送る事が時々あるのですが、本当に一方通行で、終電以降は都心の繁華街ど真ん中でありながら見渡す限り人が居なくなって有る意味怖いのですが、逆に有る意味これじゃ何も起きないだろうとむしろ安心できる雰囲気すらあったりします。

実際、売るほど金を持っているとかタクシー代を経費で落とせるなら是非とも景気刺激のために深夜まで飲み食いして帰りにはタクシーを利用していただきたいと思うのですが、そうでないなら夜遊びした挙句終電後に例えば万を超えるような自腹でタクシー代払う自爆行為は普通しないし、ここ数年都心で夜中にタクシーを使う人の絶対数が減っているという気がしています。かと言ってネカフェや終夜営業のファミレスが混んでるかというとそうでも無い気がしてて、やっぱり電車で帰れる時間に帰ってる人が多いのだとは思ってます。

もちろん郊外の駅のタクシー乗り場では行列があったりするところもありますけれど、これは所詮その駅近辺の自宅に帰る列。都心から数万のタクシー代の世界とは違うわけです。大体バブルの頃のタクシー代って自腹で払ってる人ももちろんいたけれど結局会社に請求できたから乗ってた人が多かったのは事実で、それを知らん人が昔を評しても誤解するだけだと思うんです。
観測範囲が狭い私が肌で感じるところの話ですが。

 

駅に向かって人の流れは驚くほど一方通行。

で、その時間に帰ろうとすると例えば出歩いてる人も21時頃には大体店に入ってるので表の人通りは少なくなるし、そのあと22時を回ると帰り始めるので駅に向かう人の流れが目立ち始める。店の人も23時半くらいには店を閉めてみんな終電以前に電車に乗って帰るので人の流れは駅向き一方通行で、繁華街のタクシー乗り場は金持った人と接待上がりで誰かを送る人くらい。

これが私自身の銀座とか新橋とか赤坂とかの観測範囲でのいま今の状況です。渋谷とかだともっと雰囲気が違ってきますけれど、元々地域的な夜間の経済規模の大きさから言うと人が多いのと地域経済が潤うのとはリンクしていない気がします。更には周囲のもう少し洒落た系地域は経済規模がもっと違うし、夜に人通りでごった返すことは無いし。
観測範囲が狭い私が肌で感じるところの話ですが。

 

じゃぁどうなるんだろう

でもってこれを消費税増税に結び付ける人がいっぱいいるんですけれど、別に減税してもたぶんこの傾向は変わらないと個人的には思うんです。

勿論色々意見はあると思うんですけれど、私個人的には結局可処分所得が伸びないことが一番大きいと思っていることと、そもそも他の色んな理由で外で飲み歩くなら家に帰ってゲームするよとか缶チューハイ家で飲むよと思う人が増えているのはきっと事実だと思っています。
だからこそ世の中で中食の話が盛り上がっているわけですが、中食に走る自分にとって最近どこでもいろんなものが買えるようになったよねというのがコンビニやスーパーの商品構成や棚割りが変わった結果だと言うことに気が付かなければ、目で見える人通りや飲み屋ラーメン屋などを含む外食の賑わいほど気が付きにくいし、買い物して帰る人の一人として他の人の流れを見ながら一層不景気感を感じる事になってるんじゃないかなと思ってます。

因みにこのあたり、給与所得者が感じる事と自営業や企業の経営者が感じる事が違うのもあって理由がわかりにくいという人も結構いたりします。感覚的にこれはどうしても違うのでどうしようもないんですけれど、後者の場合例えば「あなたが組織の従業員や取引先に支払っているお金がその先にいる人の支出や給与の元になるわけで、それをみんなが叩けば叩くほど世の中寂しくなりますよ」ってのは少しだけ頭の中に入れてて良いと思うんです。もちろん支出が増えると会社潰れまっせというのは当然あるかとは思うんですが、それも事実、あれも事実。

それを踏まえつつも例えば可処分所得を伸ばすにはどうしたらいいかって言うと、若い層の所得が伸びないのに加え年功序列の給与体制を排した時点で神武景気以降ずっと続いてきた40代50代という「世の中の消費経済を引っ張ってきた層」の一般的な消費行動能力を削いでしまったので、過去に比べると格段に難しい状況になってると理解しています。
観測範囲が狭い私が肌で感じるところの話ですが。

 

泣き言を言っても仕方ない団塊親子の間に挟まった世代なんですが

勿論社会構造が変わってきてるので、仕方ないとは言いたくないけれど個人的にはそれ自体が悪いとは単純には思わないです。
ただ、単にそこにいるだけで給料上がった時代の人は良いなぁとは思います。私はその時代には間に合わなかったし、そういうところにも居なかったし、そもそも過去にはお前の給料に見合う仕事がなくなったから出ていけと言われたこともあった人ですし。

でも世の中的に長年苦労してようやく所得が上がると思った矢先のリーマンショックとかで身動きが取れなくなったとかそれぞれ経緯はあるわけで、それに対して単純に文句を言っても仕方ないし、自衛のために自ら動く人はそれなりにいるのだけれど間に合わなくなったり途中で身動きとれなくなっちゃう人がいるのは事実で、しかもそれがすべてその個人に責任があるとも言いづらいのでとても難しい、今はそんな時代と世代だと思っています。
観測範囲が狭い私が肌で感じるところの話ですが。

 

リアルな目の前の状況が経済状況全体を表している訳ではないわけで

そういえばそんな中、じゃぁお前自身は今何をできるんだよと言われて「部長ならできます」とか言う人が居るのも知っています。流石に一昨日来やがれと追い返して背中の看板を降ろした後の世の中がどんなものかを勉強してきやがれと言いたくなりますが、なんだか自分の別の面を見るような気がするのも嘘じゃないです。

更には消費行動面からも年齢別の人口構造が変わるので、個人的には基本的にかつてのような「夜の経済」の「復興」ってのは無いんじゃないのかなと思っています。もちろん経済活動の場として消えることは無いでしょうけれど形は変わるだろうなと当然のように思います。一部にオリンピックや観光系インバウンドな皆様向けにもナイトライフをもっと楽しめる日本にとか言う議論もありますが、そうですかそうですか私は電車で帰りますねと駅に向かう日々しか思い浮かびません。内需で支えられない経済活動はただのテーマパークでしかないのでとても気持ち悪い気がします。でももちろん夜の繁華街経済の担い手としての中核からは既に外れている私など置き去りにしたまま世の中は色々と大きく変化して、ひょっとしたらそういう方向になって行くのかもしれませんが、よくわかりません。
とりあえずたまに馴染みの店に顔を出して馬鹿話してガハハと笑ってじゃぁねと電車で帰る日々が続けば良いな程度の事が生きてる間に続けられればそれで良いです。

観測範囲が狭い私の手に届くであろう範囲でのささやかな願いですが。

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