2016年のオリンピックで追加される競技候補にゴルフと7人制ラグビーが選択された件
最終的に10月のIOC総会での投票で開催地と共に決定ですが、当初の7つの候補から2つに絞られた新しく採用される競技。ゴルフと7人制ラグビー。いろんな人の思惑をよそに、IOCから正式な発表です。
思い入れだけでは物事は進まないという一つの例?
IOC Executive Board proposes 2 additional sports for the 2016 Games: Golf and Rugby (13 August 2009)にあるのが正式なプレスリリース。IOC自身は国連関連機関とかではなく、一種の任意団体みたいなものですが、一応世界各国に出先や受け入れ機関があり、例の五つの輪をはじめとする商標権を管理し、オリンピックゲームという興業を行うことを事業の大きな柱とする・・・と生っぽいことを書いてしまうと何だかなという雰囲気にもなってしまいますが、スポーツを中心にしたひとつの大きな機関であることは間違いないわけです。そしてその影響力も非常に大きい。影響力自体もかつては国の威信という部分が非常に大きかったわけですが、ロサンゼルスオリンピック以降は放映権をベースにした商流ができたことから、その性格や世界経済、あるいはメディアという分野での位置づけはずいぶんと変わってきたわけです。
当然そうなると、利害関係者が以前とは様変わりするわけで・・・
よってもって、いろんな人の思い入れや良心(?)では物事は何も進まなくなります。
条件闘争、そして利益を得たい人が利益を得られるシステムのプレゼンテーション
このあたりの話というのは、ある意味どんな世界でも共通するところなんじゃないかとは思います。もちろん程度問題はありますし、好き嫌いや、それが良い悪いという議論があるのは事実ですが、世の中のいろんなシステムの動きを決めるモノであることも事実。厳然たる事実。
ましてやそれが国境を越え、言語を越え、文化もなにも違う人同士の話であれば、誰もが納得できる共通の目標を作りにくいものです。そんななかで誰が物事を決める権限を持つのか、だれが最終的にそこに利害関係を持つのか?そういった部分をどうやって押さえるかというのが結果を左右することがあるわけで、今回のこの競技の決定プロセスでも、たとえばゴルフは開催時期に主要な大会を行わないとか、7人制ラグビーに至っては世界的な大会の自主開催をやめてオリンピックに統一しても良いというような競技団体としての条件を出しているわけです。それ以外にもいろいろと動きはあったのでしょうが、関係者の内部での話ですからよくわからない。
でもモゴモゴ言っていても仕方がない。野球やソフトボール、あるいは空手など、今回俎上に上がっていた競技はそれぞれの事情でそれぞれゴチャゴチャ言っていたわけですが、結果的にオリンピックという舞台を当面(当分?)は失った訳です。
他山の石とできるか
実は今回の動きや決定のプロセスというのは、マーケティングということ、あるいは事業計画というものを考えるときに、結構面白い事例になるような気がしています。交渉相手はこちらとは全く価値観の違う利害関係者で、彼らはある意味こちらの動静や行く末にそれほど強烈な関心はない。でも、彼らを説得しないと物事は先に進まない。そういう相手とどのように交渉し、こちらの意図を理解させるとかそういうことではなく、こちらの得たい目的を達成することができるかどうか。
非常にキツイ事例ですし、そのまま普通のビジネスに適用できるものでもないかもしれませんが、こういう例を事例としてとらえて、たとえば自分ならどういう風に考えるのか、行動するのかということを考えてみるのも一興ではないかと思ったりもする、夏休みの一日です。