アーティスト系の大部分の人の収入は何故低いか
★デザイナー、ミュージシャン、歌手、スポーツ選手、お笑い芸人、ライター、役者さん、シェフ、職人さん、実業家…、これらを目指している人たちの殆どが低収入です。なぜか、そして高収入へのいい道筋は無いのか、ポンチ絵で考えてみましょう。
【朝メール】20081105より__
===ほぼ毎朝エッセー===
□□やっていることが好きである
伊達さんの音楽仲間の広がりで知ることができたシンさんという人がいます。その人は30代前半男性妻帯者、大学時代から音楽、特に歌うことが好きで、それを追求してきているといいます。オンガクには3つの表記があるといいます。「音楽」「音学」「音が苦」の。それを教えてくれた人です。
さてその人、今年の頭くらいから従来やっていた経理の仕事をやめて、劇団四季のオーディションを何度も受けていました。「その年齢でよくやるな、受かってから仕事をやめればいいのに」と内心思っていたものの、なんと先日ついに合格したとのニュースを聞きます。実におめでたいことです。でも、その給与を聞いてさらに驚きます。額面17万円とのことです。
「いくら好きなことをやるとは言え、酷な金額だなぁ。
でもいったい何故そのようなことが成り立つのだろう?」
しばらく疑問に思っていました。考えてみるとそういう職種って沢山あります。デザイナー、ミュージシャン、歌手、スポーツ選手、お笑い芸人、ライター、役者さん、シェフ、職人さん、実業家…、。どちらかといえば自己能力を追求する専門職にその傾向が強いようです。では「専門職は給与が低い?」のでしょうか。ちょっと違う気がします。
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「好きなことをやっているのだから給与は低くても当たり前」裾野が広くて成功の確率が低い、それでも徹底的にそこを追求している人たちがいます。一方、「好きではないことをやるのだから給与がもらえるのだ」と考えるような人たちがいます。
「ん?もしかして好き嫌いと収入の高低になんらかの関係がある?」いつもの4事象で考えてみましょう。
(1) [好きなこと]×[低い収入]
(2) [好きではないこと]×[低い収入]
(3) [好きではないこと]×[高い収入]
(4) [好きなこと]×[高い収入]
そこに収入の開きの要素を加味します。どうやら[好きなこと]追及者は、低い給与と高い給与に開きが広そうです。一方[好きではないこと」納得者は、一般的な給与に落ち着くようです。つまり収入を低い順に並べると次のようになります。
(1) [好きなこと]×[低い収入]
(2) [好きではないこと]×[それなりに低い収入]
(3) [好きではないこと]×[それなりに高い収入]
(4) [好きなこと]×[高い収入]
高い収入だからそれが苦ではなくなるという麻薬もあるでしょうが、次にはその数量的な分布を考えてみます。
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低い収入を左に、高い収入を右に取った軸の上にプロットすると、「好きなこと」分布は左側を上に右側に指数関数的に減るカーブ、「好きではないこと」分布は、真ん中を頂点にした正規分布になるでしょう。つまり(1)→(4)に至る分布は極端に成功度合いが少なく、(2)→(3)は収入の真ん中辺を中心、あるいは多少左に偏在した分布になることが想像されます。
★ポンチ絵グラフをつけます (2009-12-25追記:割合と収入の軸が逆でした。。)
当然のことながら(4) [好きなこと]×[高い給与]でいれば幸せでしょうがそれを実現している人は少ないです。(4)の生き方を目指すとすると、それには(1)から成長していくのか、あるいは(2)や(3)の中から考え方を変え、好きではないことを好きなことにしてしまうということもあり得ます。やはり「やっていることが好きである」というパワーは、突き出るためには必須なのでしょう。
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これを考えていて企業の生き方にも似たようなパターンがあるのではないか、そのように考えました。4事象で観てみます。
(1) [好きな事業]×[低い収益]
(2) [好きではない事業]×[それなりに低い収益]
(3) [好きではない事業]×[それなりに高い収益]
(4) [好きな事業]×[高い収益]
[好きな事業]×[低い収益]でスタートできるのはいわゆるベンチャー企業です。そして、それは裾野が広くて成功の確率が低いという意味では、個人の場合と同じ分布傾向を示すでしょう。
低い収益を左に、高い収益を右に取った軸の上にプロットすると、「好きな事業」分布は左側を上に右側に指数関数的に減るカーブ、「好きではない事業」分布は、真ん中を頂点にした正規分布になるでしょう。零細企業が多い中小企業の実態を考えると、「好きではない事業」分布はより左に偏在しているのかも知れません。
★ポンチ絵グラフをつけます(収入が収益に代わっただけです)(2009-12-25追記:割合と収入の軸が逆でした。。)
当然のことながら(4) [好きな事業]×[高い収益]でいることが素晴らしいです。そしてそれを実現している数は少ないです。(4)の事業運営を目指すとしても、それには(1)のベンチャー状態から成長していくのか、あるいは(2)や(3)の中から考え方を変え、好きではないことを好きなことにしてしまうということがあるでしょう。やはり「やっていることが好きである」というパワーには何事にしろ、突き出ることへの道筋になるに違いありません。
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好きではないことに追い込まれてしまう人や企業たちは多いです。ベンチャー企業だってその過程には、意に反することをやらねばならないことが多いです。いつの間にか好き嫌い感は無くなってしまって、漫然と仕事をしていたりします。
自分を振り返って「やっていることが好きである」という方向感で、道筋を取り戻すことができます。(2)からスタートしても、それを嫌うことはない、好いてしまえばいいのです。それも、徹底的に好いてしまう、そんな「好きな要素」を見い出す、能力と想像力と実行力が意外と大切だったりします。そして気がついたらいつの間にか(4)の路線に切り替わっているのです。
「やっていることが好きである」という自負は、人にしても事業にしても、突き抜けるための大きな要素です。だから「今やっていることを心底好いているか?」と、自問自答しながら行くのがいいです。そうすれば(4)の突き抜けケースの二乗、つまり「好きなこと」を「好きな事業」で「高い収益」を生み、それが「高い収入」へとつながる道筋なのです。
★そんなことを自分たちでも実現して行きましょう!