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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

(43)とか、テレビで実年齢が表示されるのはなぜ?

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★日本社会は異常に年齢こだわるって気づいていましたか?

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【朝メール】20040907より__

日本のテレビ番組やニュース番組では、特筆モノで不思議な習慣があるのをご存知ですか?

アメリカから帰ってきたときに最初にそれに気が付いて、以来目に付いて仕方がなかったことがあります。それは、人の名前の後に年齢が表示されているということです。こんな感じです。

『4人が死亡し63人がヒ素中毒となった1998年の和歌山市の毒物カレー事件で、殺人罪などに問われ一審和歌山地裁で死刑とされた林真須美被告(43)の控訴審公判が8月31日、大阪高裁(白井万久裁判長)で開かれ、真須美被告は弁護団の被告人質問で「どうせ死刑なら言い分を残したかった」と質問に応じた理由を説明した。』

それを見て漠然と思うのですね。

「あ、あの人は43歳かぁ。その割には年取って見えるなぁ。
  自分より1つ上なのか。なんだかまぁいろんな人生があるね。」と。

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「この人はどういう人?」

初めての人と会ったときにはそこに神経を集中しますね。人は他人を理解するときにはステレオタイプの助けを借ります。今までに知っていた人々の共通項から大まかに分類してからその人とやり取りを始めるのですね。それからその人の幾つかのリアクションや表情などを注意深く見ながら、徐々にステレオタイプを修正していくというプロセスでその人への理解を深めています。

その中でも、見かけから判断できる年齢以外に、実年齢にはかなりの情報量があるのでしょう。だからよく聞かれます。

「あ、坂本さん、何年入社?」とか
「理工学部何年卒? 学士? 修士?」

これは間接的に実年齢を探っているのです。流石に日本ではいきなり年齢を聞くのははばかれるのでしょう。だから「何浪/何留ですか?」とまでは聞かれませんが、よく出る話題の一つです。韓国ではもっとストレートです。殆ど初対面でも「何年生まれ?」と聞かれます。まず年齢を聞かれることにはとても強い違和感を覚えましたが日韓共通で年齢に興味があるのです。儒教の匂いを感じます。

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一方、ところ変われば人の付き合い方も変わります。仕事を始めた頃にデュポンの品質管理部長に言われたことがあります。

「日本文化は羨ましいねぇ。Respect for the elders (敬老の概念)がある。」

「え?アメリカではないんですか?」

「Dirty old man といわれて嫌がられることが多いよ。」

当時は不思議に思っていたのですが後に分かりました。アメリカでは加齢を恥る風潮があります。どれだけ若くして、どれだけすごいことを達成したかということ、これを暗黙のうちに競争しあっています。

若い社会だからなのでしょうね。だから年齢を聞くのは結構タブーなのです。年齢について聞くのは打ち解けた後からです。あえてファーストネームで呼び合うのも年齢や役職という要素をなるべく排除して、あくまでも個人対個人で付き合おうという姿勢が現れているのだと見えます。

転校をした経験のある人ならわかると思いますが、異文化に入るには勇気がいります。小さな違いがいたるところにあります。その違いをなるべく細かく感じ取って理解して、それでいて大きな共通点を理解していって、自分の立ち位置を表現をすることができる。こういうのはいいですね。それが真の国際人なのだと思います。

★自分のステレオタイプ醸成のために、年齢という情報に偏りすぎていないか、ちょっと反省してみたりしています。人は生き方の違いによって大きく変わってしまいますからね。

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