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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

ストレス無し仕事術: Next Action

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ストレス無し仕事術の第4弾は、ネクストアクションという仕組みです。この1月に簡単な仕組みとしてスタートし、e-Janでは格段の効果を生みました。かれこれ8ヶ月を過ぎ、もちろん、これは万能ではありませんが、無いと有るとでは別世界であることが証明できました。Getting Things Done (GTD)の概念をチーム活動にうまく消化吸収できた例としてご紹介します。

★【朝メール】20090126(再編集有り)より__

やるべきことが多く、できる陣容が少なく、その差が慢性的に乖離した状態が続くと、個人のみではなく、組織としてストレスが大きくなってきます。「頼んだのにやってくれない」とか、「約束したのに実行されない」ということが慢性化してくると、組織自体が死んでしまいます。そのようなことに苦しんでいた頃の朝メールです。

===ほぼ毎朝エッセー===

□□ネクストアクションについて

先日からの「嫌なことから済ませる」、いかがでしたですか?「えぃっ!」と、ちょっと嫌なことから始めてしまえば、案ずるより生むが易し、思ったより仕事がはかどりませんでしたか?さて、今朝は、「嫌なことから済ませる」と「嘘をつかない」というところに、もう1点、改善を加えたいと思います。

それは、「やるべきことリスト」の精度向上です。従来のToDoでの管理は形骸化しやすく、何よりも頭脳にタスクを多数同時インプットしてしまう形式なので、ストレスをためる元凶ともいえます。モデルチェンジをしなければいけません。そこでたどり着いたのが「ネクストアクション」を会社と共有するアイディアです。

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日々の活動で、お客さんを訪問したり、サポートに電話がかかってきたり、メールで依頼がきたり、会議で話し合ったりすることで、やるべきことが決まります。つまり約束をする場というのは様々にあります。約束をしたのであれば、それは守らなければなりません。あるいは約束を守れないのであれば、守れない旨を伝えなければなりません。

そして皆さん、うすうす気がついているとは思いますが、現在、弊社での問題点はここにあります。そう、それは、『集団健忘症』になっているということです。忙しいから約束を守れないというのは、ビジネスマナー以前のことです。いい分けにならないことなのですが、実際にはそれが散見され、約束不履行でも社内で見逃されていることが良くないです。あるいは、健忘症になっていて、約束ごとが不履行であることすら忘れてしまっています。

考えてみてください。

例えば、外部の会社の担当者が自分に何か約束をしてくれて、その後、しばらく待つけど何も連絡がないとします。そして疑問に思い連絡を取ってみると「すみません、忘れていましたっ!」と、特段、罪の意識も希薄に謝ってくるのです。謝ってくれればその場は何とか許すでしょうが、何度も重なってくれば「仕事にならない」と、次第に見捨てていきますよね。集団健忘症軍団はそういうことをしてしまっている懸念があります。何とか改善しなければいけません。

ここで、精神論を述べても仕方がありません。今朝は具体的に何をやってもらうかという依頼をします。

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今日から業務のやりかたを変えます。

報告書ブログに書き込む報告書のどこかに「ネクストアクション」を書いてもらいます。まずはCACHATTO Sales Info(営業報告書)と CACHATTO Support(サポート記録)、Meeting Memo(議事録)の3ブログが対象です。ここが社外への約束事項が一番多いところです。電話やメールで担当者に依頼があった事柄についても、同ブログに「ネクストアクション」を記載をしていってください。

「ネクストアクション」の書き方は次のようになります。

『★:20090130:坂本:U012でインストールキットつくる:社内』

・行の最初にある★はそのステータスを示します。
 ★はオープン、つまりネストアクションがまだ完了していないということ、
 そして☆はクローズ、ネクストアクションが実施されたということです。

・セパレーターとして全角のコロン[:]を使います。全角で統一してください。

・次に担当者姓を入れます。
  姓名が重なったら、例えば[佐藤香]のような文字列を作ります。
  それを自分の担当名として統一して使ってください。
  全員が対象の場合はALLと入れます。

・ネクストアクションの期限、20090126 の形式でお願いします。

・タイトルはそれだけで内容が分かるように簡潔に工夫してください。

・最後に対象を記述します。顧客名の略称や相手の名前です。

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従来、DR (Daily Report)に記載してくれていたToDosは、「ネクストアクション」の形式にして報告してください。「ネクストアクション」が完了できた場合は★を☆にしてください。あるいは、期日までに実施できなかい場合は、★を▼に変更して、新しい期日で★として同じ内容を記載してください。これによって、約束事が実施されているかどうかをチェックします。

この報告書ブログへの記載、およびDRへの記載を毎朝6時に回収します。そしてその内容を精査した後に、エクセル表としてまとめて、各位に9時前までに送付します。これによって、その日の自分の約束した「ネクストアクション」がクリアにわかるとともに、その日の夕方に報告書を書く際には、エクセル表の★を変更するもの、プラス、新たに発生した業務を、☆の完了報告とともに記載してくれれば大丈夫でdす。なお、期限が変わった際や取り消す際の▼には、1行、その理由を記載してください。

会議にネクストアクションを振ることも多いでしょう。そのときには、担当者欄に[会議名]と入れます。経営会議 [経営]、QIM [QIM]、開発会議 [開発]、営業会議 [営業]、営業企画 [営企]、全体会議 [全体]、営業朝礼 [朝礼]、アプリ開発会議[開発T]、というような記号を入れます。エクセルのネクストアクション表から会議の名前でフィルタをかければ、その会議での議事に漏れが発生することも少なくなります。

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朝メールでは、各位のDRとネクストアクション表とを対比し、その場で、課題で残っていること、対応方法を変えてもらいたいことなどを記載します。これによって、会社でした約束が期限どおりに実行されているか、自他ともにフェアに見比べることができます。

自動化ができるまでは、エクセルとメモ帳、つまり手でやります。膨大な作業量になるとは思いますがここは根性論です。それほど会社が約束を守る体質に変わることを重要視しています。

ちなみに土曜日の経営会議で出来上がったリストの一部を次に示します。

★:坂本:20090207:経営会議でチェックリストをレビューする:[経営]
★:坂本:20090207:東レへの報告今期まとめ来期計画を立てる:[経営]
★:GL:20090126:開発ロードマップ用アサイン各Grが顧客要望を提出する:[全体]
★:ALL:20090130:チェックリストを1週間各人使ってみる:社内
★:Kumar:20090130:開発ロードマップ会議を実施する:[開発]
★:原口:20090130:テスト項目今回のものをフォルダに整理しておく:社内
★:佐藤:20090130:アプリのアップロード手順のチェックリスト作成する:[QIM]
☆:坂本:20090124:丁さんタスクKumarさん課題を渡す:社内
★:坂本:20090209:業務フロー改善の効果を計る:顧客名
★:坂本:20090130:業務箱を検討して買う:伊達
★:坂本:20090207:経営方針たたき台作成:[経営]
★:坂本:20090126:席について開発島デスクを購入する:アスクル
★:多喜乃:20090130:System Maintenanceブログを作成する:社内
★:多喜乃:20090130:U012でのインストールキットつくる:[QIM]
★:濱方:20090209:BTS(プロトタイプ)つくる:[開発]

そして例えば、これを個人別の時系列的に並べ替えてみるとこのようになります。

☆:坂本:20090124:丁さんタスクKumarさん課題を渡す:社内
★:坂本:20090126:席について開発島デスクを購入する:アスクル
★:坂本:20090130:業務箱を検討して買う:伊達
★:坂本:20090207:経営会議でチェックリストをレビューする:[経営]
★:坂本:20090207:東レへの報告今期まとめ来期計画を立てる:[経営]
★:坂本:20090207:経営方針たたき台作成:[経営]
★:坂本:20090209:業務フロー改善の効果を計る:顧客名

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いかがですか?是非やってみましょう。

自分が何を約束しているか、このシステムに乗せられれば漏れがありませんよね。このようになれば、自分用に抽出されたリストの中から、「嫌なことから済ませる」順番で仕事を順次やっていけばいいのです。それなので、記録の実施とフォーマットの遵守は重要です。徹底をお願いします。

これで、集団健忘症から脱却でき、約束不履行のトラブルは減るはずです。ストレス無く仕事をしていくところに一歩前進させましょう!

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★その後、ネクストアクションを簡単に抽出・作成・重複削除するための「ネクストアクションエディター」や、各メンバーのDaily Reportを自動回収する「朝メールジェネレーター」を仕事の合間にプログラマーたちに開発してもらい、未だにこの運用は続いています。

GTD (Getting Things Done)を組織ベースで実施するためのツールの原型が出来上がりました。さらなる自動化やウェブ化、入力のしやすさなどの改善は必要ですが、この原始的な方法でもものすごく業務効率を上げました。急がば回れ。人は誰も好きで仕事をサボっているのではなく、やれる大きさのものが目の前にあれば熱中できるものですからね!

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