『どうして?』『なんで?』と言いそうになったら・・・
できない理由は、どこにある?
日曜日の公園。少し離れたところでキャッチボールをしている親子の会話。
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お父さん「どうして、まっすぐ投げられない?何度も言っているだろう」
男の子「・・・・」(無言で、ボールを投げる)
お父さん「だから、どうして、まっすぐに投げられない。ココに投げるんだよ。ココ。」
男の子「・・・・」(無言で、ボールを投げる)
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この会話について、横にいた夫に話しかけました。
私「どうしてって分かっていたら、できているよね」
夫「自分の教え方がよくないとは思っていもいないだろうし、ましてや、相手のできない理由を想像しようともしていないんじゃないかな」
「どうして、ちゃんとできないの?」
「どうして、上手にできないの?」
「どうして、○○できないの?」
「相手に育ってほしい」という気持ちから、口にしてしまう方も多いと思います。
しかし、残念ながら、言われた方は、その思いを受け取るよりも、不快に感じたり、責められていると感じたりすることの方が多いように思います。
「育ってほしい」「成長したい」と双方の目的が一緒であるにも関わらず、双方のコニケーションスキルの未熟さによってすれ違いがおこってしまうのは、残念なことです。
コミュニケーションスキルの話をすると「頭では理解しているけれど、なかなか習慣を変えられない」と言われる方がいらっしゃるので、「どうして?」「なんで?」をどうやって封印したのか、自身の経験を元に書きたいと思います。
教える側のコミュニケーションスキルを磨く
① 方向性を考える(『どうして?』『なんで?』の方向を自分に向ける)
「どうして?」「なんで?」と感じる時は、「相手に対する期待値(自分)」と「相手の行動(相手)」のギャップがあるときなので、「どうして?」「なんで?」と感じたら、言葉の方向を自分に向け、「相手に何を期待していたのか?」を言語化し、伝える。
【例】私は、○○さんが、☆☆ができることを期待しています。
② コミュニケーションパターンを決めておく
Aの状態:期待値と行動のギャップに気づいていない。
Bの状態:期待値と行動のギャップを埋める最適な方法が分からない。
Cの状態:期待値と行動のギャップを埋める方法は分かっていても行動しない。
まずは、相手がA~Cのどの状態にあるかを見極めるために、A⇒B⇒Cの順番で質問をしていきます。
教える側が相手の状態を決めつけるのではなく、必ず、相手に質問をするようにします。
Aの状態の時は、期待値を具体化するためのコミュニケーション
【例】「☆☆の仕事は、1件あたり何分位で処理したらいいかな?」
Bの状態の時は、相手の最適な方法を一緒に考えるためのコミュニケーション
【例】「時間がかかっているのは、どの部分?どの部分に苦労しているの?」
Cの状態の時は、不安か不満を取り除くためのコミュニケーション
【例】「☆☆をしていないのは、何か不安なことがあるの?」
「不安を取り除くために、何かできることはあるかな?」
「できなかった自分」を憶えているということ
「人に何かを教える」ということは、相手の成長に責任を持つということです。
私は、指導する側の資質として「できなかった自分」を憶えていることが大事だと考えています。
「できなかった自分」を憶えていて、その道のプロフェッショナルになっている方は、「前に教えましたよね?」「なんで、そんなことも分からないの?」という言葉を口にすることはありません。
「前に教えたよね?」「どうしてできないの?」「なんでそんなことも分からないの?」と言いそうになったら、自分の教え方を見直し、教える側のコミュニケーションスキルを磨いてほしいと思っています。