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組織開発・人財開発・IT・ビジネスについて、日々、感じたことをつづります。

父が教えてくれたこと:視点・視野・視座を変える習慣(上司に評価されたい欲を捨てると判断に悩まない)

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視点:何の、どこを見るか。

視野:どこまで見るか(見る範囲)。

視座:どの場所・どの立場で見るか。

考え方が異なった時は、相手の視座に自分を置くこと。判断に迷った時は、自分が経営者だったらどう考えるのか、個人や上司や部門ではなく、経営者になったつもりで、会社や社会にとって最善の方法を考えること

これは、社会人になる時、父が贈ってくれた言葉の1つであり、ビジネスパーソンとして、私が判断に迷ったときの判断基準にしている考え方です。
今でこそ、感情に振り回されずに、視点・視野・視座を変えて考えることができるようになり、判断に迷うことはなくなりましたが、正直、30代中頃までは、この言葉を本当の意味で理解できていなかったように思います。

【求められていること】をどの範囲で見ているか?

【やりたいこと】=【できること】=【求められていること】で、仕事は、【求められていること】=【できること】を満たしている必要があると書きました。
先日、「自分が身に付けてき
たスキルと会社が求めているものは違うのでは?」という質問をいただく機会がありました。そこで、今日は、【求められていること】について、私がどのように考え、行動しているかを書きたいと思います。

私は、自身のスキルについて考えるときに、以下の2つの範囲(市場と会社)で見るようにしています。
キャプチャ5.PNG
①:市場で求められていること(市場価値)
ビジネスパーソンの皆さんにお奨めしていることの1つに、常に自分の市場価値を知っておくということがあります。たとえば、自分をメロンに例えた場合、自分が500円のメロンとして扱われる市場なのか、2万円の桐箱入りのメロンとして扱われる市場なのか、各市場における自分の価値を知っておくということです。
これは、自らの体験として、
自分という素材は変わらなくても、市場によって評価が大きく異なるという体験をしてから、常にそう考えるようになりました。

そして、もし、自分が活躍したい市場で評価が低いのであれば、なぜ低く評価されたのか、高く評価されるようになるためには、どのようなスキルを身に着ければよいのかを客観的に考えられるようになりました。

②:会社で求められていること
会社で求められていることは、会社⇒事業部⇒本部⇒部⇒課⇒チーム⇒個人 というように、仕事がブレークダウンされるため、自分に与えられた仕事だけに着目していると仕事に対する視野が狭くなり、全体としてどのような目的の仕事なのかをあまり意識していないかもしれません。

数年前、あるエンジニアの方から「開発からプリセールスに変わったのは、会社から開発者としてNGと言われたのと同じなので、転職をしたい」という転職相談がありました。
私は、その会社の課題が営業力であることを知っていた(経営者のメッセージをメディアの記事で読んでいた)ので、「それは、NGということではなく、開発者としてのスキルだけでなく、コミュニケーションスキルの高さを評価された上での抜擢人事だと思うので、上司に確認してみて、その上で転職を考えてみたらどうですか?」とアドバイスをしました。

翌日、上司の方に異動の理由を質問したところ、予想どおり、抜擢人事であることを伝えられたそうです。結果として、そのエンジニアの方は、翌年、MVPとして表彰されるような大活躍をされ、今でもその会社でエンジニアとして働かれています。
この例のように、自分の仕事を個人⇒会社という視野でとらえ、自分⇒経営者という視点で考えると、会社から何を求めらていて、自分のスキルとして何が強みなのかを客観的に考えることができるようになります。

どこを見て仕事をするか?

視点・視野・視座を変えて考える習慣がつくと、自分の判断基準が明確になり、モノゴトに対する判断が速くなるように感じています。

ところで、読者の皆さんは、言いづらい、本当のことを言うことができますか?私は、相手が誰であれ、思っていることを、直接伝えるようにしています。相手から嫌われるとか、相手から評価されなくなるとかは関係なく、会社や社会にとって良いと思うことを判断基準に、言いづらいことも伝えるようにしています。
あまりにも躊躇なく、言いづらいことを伝えるため、人によっては、『厳しい』とか『コワイ』と感じている方もいらっしゃると思います。それでも、『愛情のある厳しさ』はいつか伝わると信じて、伝えるようにしています。

キャプチャ4.PNGそして、言いづらいことでも、誰に対しても直接言えるようになったのは、上司に評価されたいという欲ではなく、市場からの評価で考える習慣がついたからだと考えています。これは、社会人3年目で得た技術書籍執筆の体験が大きく影響していると感じています。

上司の視点を意識して、上司を見て仕事をするのか、それとも、市場からの視点を意識して、市場を見て仕事をするのか?私自身は、後者を選び、上司に評価されたいという欲を捨てたことで、判断に悩まなくなりました。

視点・視野・視座を変えることが習慣になると、
相手の言っていることを理解するために、相手の視座に自分を置いて、背景や心情を考えるようになりました。そのおかげで、意見の相違や自分と真逆の意見だったとしても、そういう考え方もあるんだなと考えられるようになり、感情で振り回されることがなくなりました。

ここ数日、20代~30代の方々のモヤモヤする気持ちをお聴きして、改めて、父が教えてくれたことを思い出し、視点・視野・視座を変えてモノゴトを見た上で、言いづらいことも言葉にして伝えていこうと思いました。

  • 視点・視野・視座を変えてモノゴトを見る習慣を身につける
  • 仕事に対して「自分としては○○したい」と感じた場合、会社の視点・視野・視座で考えてみる
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