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WIMAXビジネスへの期待

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近年コンサルティングでお話をさせて頂くのが新規事業開拓系であることは過去10年と比較して極めて特徴的です。ともすればBPRやSOXなどでコスト低減や内部統制の分野での利益確保がテーマとして多かったことは事実でしたが、少子高齢化、さらには米国発の金融不安などでの収益の拡大を重要な経営課題とされている企業が増えていると感じています。

これまでは収益は内部でしか出せないという意識が強かった気がします。それを外部のエキスパートを活用しようという傾向にあることは、市場のダイバーシティが進み自社内ではニーズへの対応も、スピード感も不足すると認識されているからではないでしょうか。

先日、某通信企画会社のWIMAXサービスの説明が行われました。そこには驚くべきことに200社400名以上の方が参加されていたのです。何故このようにWIMAXサービスが期待を集めているのでしょうか。通信会社に籍を置いた経験からいくら高級な土管を作っても利用されないことには付加価値が生まれないことは明らかだと思います。

確かにWIMAXの技術優位性はWI-FIに勝ります。広域性に加え速度も最大80M/bps、実質的には20M程度となるでしょう。これはフルハイビジョン画像を通信で見れる速度です。でも速度でいえば数年以内に実用化される4GLTEなどの次世代通信の方が速いでしょうし、こちらは既存の通信会社が展開するので音声通話と一体化したサービスも当然出て来るでしょうから「つなぎ」の技術と見えないこともありません。

WIMAXはMVNOの振興と同時に語られることも多いことも理解を困難にしているきらいがあります。総務省がまとめている「モバイルビジネス活性化プラン」においても「電気通信事業の健全な発展と円滑な運営への寄与に関する事項」として「開設指針に基づく開設計画の認定を受けていない電気通信事業者による無線設備の利用を促進するための計画を有すること」を2.5G帯の広域無線免許登録の条件であることを示しています。

MVNOの新規参入促進は、今後のモバイルビジネス活性化の柱の1つになることは疑いないと思っています。これまでキャリア各社が自らのリーダシップで市場を形成してきたわけですが、キャリア牽引での用途開発は限界に来ている感があるからです。今後はほかの事業者の経営資源が参画することでさらなる利用シーンや新サービスの開発に努めていくことしかないのでしょう。

 私は新規事業の可能性の検討においてMVNO・つまり通信サービスや機器製品のネットワーク化を含めることで、新たな用途が出来ないか、新たな顧客層にリーチできないかを仮説として考えるようにしています。通信インフラはあくまでツールとすればそのツールを付加価値として提供することはサービス企業でなければ出来ないことであり、そういったサービスの連携や普及から新たなビジネスを生みだす土壌になると想定しています。

ではWIMAXはこのような新たなビジネスへの期待に答えられるでしょうか。総務省の資料ではWIMAXのユーズケースとしては2通り示されており、1つ目は移動的な使い方として中速程度の移動にも対応するサービスを提供するものとしています。今ひとつは固定的な使い方として条件不利地域において、アンテナにより、10KM程度の比較的長距離の中継回線や4KM四方足回りの加入者回線を提供するという図が示されています。

残念ながらこの世界感では付加価値を持つツールとは捕らえにくいと思います。もし大きなブレイクスルーが起こるとしたら、逆に通信の世界と離れた世界観で大きなビジネスをしてきた企業からもたらされるのかもしれません

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