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ディスラプティブ・テクノロジーって

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Wii訴訟に見る米国技術ベンチャー

ヒルクレスト・ラボラトリーズ(Hillcrest Lab)は、任天堂を、「Wii(ウィー)」の開発で同社の4つの特許を侵害したとして、米国際貿易委員会(ITC)に調査を求めて提訴したという記事を読んだ。その真偽の程はどうなのか判らない。Wiiが米国で発売されて1年半以上経過した今頃なんで?と思われるかもしれない。また同社が最近25M$を追加ファウンドしていることも気になるかもしれない。

この記事を見て、ベンチャーにとっての技術・知財とは何かを改めて考えてみた。判っているのはこの訴訟で同社のことを認知する方が増えるということではないか。

コア・テクノロジーの優位性の確保

ベンチャー企業の武器は革新的な技術であり、その技術を管理できる人材である。競争戦略論で世界的権威と言われるハーバード大学大学院のマイケル・ポーター教授が述べているように「技術革新は、市場における“偉大な平衡器(great equalizer)”である」のであろう。

また、同様にその技術と人材を知財化して投資を惹きつける役割を担える人がいるところが大きく伸びることがある。このような場合にこそ、革新的な技術を携えて市場に新規参入したベンチャー企業は、その市場における競争優位をすでに確立しているリーディング企業と互角に競争できる可能性がある。これをgreat equalizerと称しているのだと思う。

つまり、ベンチャー企業が忘れてはならないのが①コア・テクノロジーの優位性を確保する、②投資を惹きつけるの2つの点であることになる。訴訟を起こす行為は費用と労力を要するだろうが、投資を惹きつけるという効果もあるのではないか。なぜなら、私にとってはWiiという優れたゲーム機に関心があるからこの記事が無ければHillcrest Labという企業が同様の技術を保有しているということを知らずじまいだったからだ。

 勿論①コア・テクノロジーの優位性を確保することは必須であるので、同社の訴訟は正当なものなのであろうが、ベンチャーが大企業と渡り合うには「優れた技術」が鍵であることが再認識された感を持った。

ディスラプティブ・テクノロジーとは

優れた技術ことがベンチャー企業がリーディング企業との競争に勝つことができる可能性がある。そして、このような技術を、ハーバード大学のクレイトン・クリステンセン教授が言うところの「(disruptive technologies)」、(訳が難しいが破壊的、分裂的技術)なのだろうか。つまり、これまでリーディング企業の戦略的コアコンピテンスであった技術をその優位を打ち壊してしまう革新“技術”というものである。

この事例を集めてみたいと思っているが、中々困難である。いつか実現したいと思いつつ日々の雑事に忘我している。

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