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美しい街 七尾

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能登半島の付け根にある港街として知られる七尾市に行く機会があったのは七尾出身の著名な経済評論家の方が地域振興の熱い思いをお持ちで、その熱気にふれたことから行かせて頂いた。

 今日、地方都市の多くは少子高齢化が著しく進み、自治体の財政もほとんどが地方交付税で賄われており、それでも厳しいところがほとんどである。素晴らしい環境と地域コミュニティがありながら就職先が少なく、若い人は大学からそのまま都市に出ざるを得ない。現在の日本社会に見られる都市圏への集中と地方都市の閉塞という一つの構図が浮かび上がっている。

 コールセンターの誘致地域SNSなどがその活性化に何か役立つだろうかと考えつつ初秋に訪れた。経済的観点からはまさに「都市圏は環境を欲し、地方は企業を欲する」という構図が当てはまる状況である。人口は6万強だが、かっては9万以上であった。一日毎に寒さを増す日本海側の気候そのままにこの小都市が大きな経済のうねりから外れていくように思えた。

いくつかの廃校となった小学校を拝見させていただいた。時間の経過により黄ばんだ厚手の紙に書かれ、掲げられていた校歌や卒業作品などを見たときは胸がいたくなった。忘れてはいけない。少子高齢化が進む我が国の多くの地方都市の縮図であるのだ。

しかし、聞いてはいたが、その街と能登島の美しさには驚かされた。全国的に有名な和倉温泉は知っていたが、それはこの地域の魅力の極一部であった。天然の良港として栄えてきた七尾港から海と同じ海抜で小さな運河が施され、小京都的な家屋や倉がモダンな町並みの中に残っている。
七尾港から歩くと ななお 一本杉通り に出るが、石畳の一本道に交互に配置された石灯籠が点る夕刻、それも雨上がりが光が反射し特に美しい。店のウインドウに飾られる「花嫁のれん」の華やかな彩りが妖しさを増す。

伝統職人の後継者が失われていくことは悲しいが、銀行を改築したレストランなどは若い方々が始められて静かに繁盛しているようだ。

そして私の知る限り最も居心地の良いカフェが能登島の北端にある「能登カフェ」である。ここも古民家を改築したものだが、ロハスをテーマにしているのだろうか。能登湾からの風が吹き抜ける空間にいる間は確かに時間が進まないようだ。この店も若い女性が地域の方の応援を受けてやっておられる。

七尾市は市長を始め、若い人がこの街を愛し、懸命に元気をとりもどそうとしている。

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