被災した「香害で健康に影響が出るタイプの」化学物質過敏症の発症者のために、できること。 ~日用品公害・香害(n)~
地震により、多くの方が被災しています。
その中には、化学物質過敏症発症者の人たちが含まれます。ここ数年、香害を原因またはトリガとする、化学物質過敏症の発症者が増えており、公的機関の調査から判断すると、1割近くはいるはずです。
皆同じ、ひとりの人間です。生命の重さに優劣はありません。
想像してみてください。発症者たちは、香害が蔓延する避難所を利用できません。家族が(たとえば未成年の子が)利用できる場合、自宅に取り残されることになります。
香害製品の使用者たちがひしめく給水所に並ぶにはリスクがあります。家族が並ぶことはできますが、単身者は命がけになります。また、家族が水を手に入れて帰宅しても、頭髪や衣類に付着した二次移香の有害物質を、シャワーや洗濯で除去することができません。
二次移香している災害非常用品は体調悪化の原因になります。使えない方もいます。今では、大半の食品や備品に、香りのある有害物質が付着しています(移香しています)。また、食品添加物や農薬などに反応する人もいます。
万が一、怪我をしても、香害の蔓延する病院や診療所の利用にはリスクがあります。
救助者が香害製品を使っていると、躊躇することになります。救助によるベネフィットと、接近によるリスク、どちらを優先するか、瞬時の判断がもとめられるようになります。
いま既に救助にあたっている人たちが、フレグランスフリーを実践することは難しいでしょう。
ですが、今後の支援については、どうか、可能な範囲で、フレグランスフリーを心掛けていただけませんか。
支援に向かう場合、香料入り柔軟剤、抗菌系合成洗剤を使わない。既にそれらを使って洗濯した衣類しか手持ちがないならば、水洗いで3回すすぐ。香水、整髪料など、香りのある理美容品は使わない。
それらを徹底するだけでも、助かるひとたちがいます。
被災していない地域の各自治体では、今後の防災計画において、とくに、職員と医療従事者と介護従事者と教員に対し、フレグランスフリーを推進していただけませんか。
そして、香害や煙害や建材などからの揮発を避けられる、発症者が安心して利用できる避難所を、一自治体に最低一カ所は、整備していただけませんか。香害健康被害者の情報によれば、すでに利用できる施設を有する自治体があるそうです。その情報を他の自治体と、積極的に共有していただけませんか。お願いします。
このようなことは、以前なら、明文化する必要などありませんでした。消費者ひとりひとりが考えて、使用をやめれば済む話にすぎないからです。IT業界のブログで、あえて取り上げるようなテーマではありません。筆者が書くことで、気付く人がいるかもしれない、ということが、この国の奇妙な消費行動を物語っているような気がしてなりません。
いつ誰が被災するとも限らない。この地震大国で、使うだけで他者の健康や生命に甚大な被害を与える製品を、あえて選んで購入しなくてもよいではありませんか。無香害の、それも安価でコスパのよい製品が、多数あるのですから。ネットでも容易に購入できます。「X」上には、比較的安全な製品のリストが、出回っています。
香害は、すべての消費者が、原因製品の使用をやめれば、解決へと向かう問題です。
環境中に既に拡散した有害物質は除去できないとしても、追加の拡散を防ぐことはできます。化学物質過敏症の発症者たちは、発症以前の健康と生活を取り戻すことができます。
買い物に責任感を持ちませんか。すでに購入しているなら使用を見合わせませんか。使ってしまった衣類があるなら、数回以上水洗いしませんか。
このテキストに対して、まずは、考えてみていただけませんか。