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企業公式アカウントにもとめられる、真摯なリスクマネジメント

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日用品メーカー3社の、twitter公式アカウントが、くすぶっている。
高残香性柔軟剤・柔軟剤入り洗剤・抗菌等の付加価値付き合成洗剤を、開発・販売している企業ばかりだ。

1社目。火種は、2020年6月29日のツイート。
「日常が変わってしまった今」で始まる一文に、香害で日常の変わってしまった人たちが、反応した。

2社目。火種は、4月7日のツイート。
同日は、世界保健デー。健康方法を募る内容だ。ところが、1ツイートの中に、「健康」を3回 、環境保全をおもわせる「地球」を1回使用。香害による健康問題を抱えた人たちの悲嘆であふれた。

3社目。火種は、5月10日のツイート。
一番気になるニオイを選ぶアンケート調査だ。口臭、足、汗、その他からの4択。
「ニオイ」という地雷ワードが、1ツイートに3回。体臭を気にする風潮が、香り付けや消臭のニーズを作り出している面もあり、紛糾。「その他」を選んだ場合にはリプするよう促したため、リプが連なる結果となった。

3社とも、まだボヤだ。消火活動は行われていない。

SNSを利用している企業には、「企業側が不利益を被らない」ためのマニュアルがあるはずだ。インターネット・リスクマネジメント会社「株式会社MiTERU」おおつねまさふみ氏による、アイティメディアの連載記事、otsuneの「燃える前に水をかぶれ」が参考になる。

ところが、3社の事案は、「不利益を被っているのが、リプした側」という、逆の構図になっている。また、「香害」が周知の事実である以上、リプを虚偽として切り捨てることもできない。5省庁が啓もうポスターを制作、多くの自治体が独自の啓もうぺージを公開している。医療関係者が購読する機関紙でも香害の特集が組まれている。複数の大学で、環境への影響も研究されている。

後藤真理恵氏の記事「攻めるために守る! 知っておきたい「守りのSNSマーケティング」=「SNSリスクマネジメント」「防げる炎上」と「防げない炎上」、その2つを区別するには の表によれば、商品に起因する炎上の予防は難しいとみられる。

今後も、同様のボヤが頻発する可能性がある。2社目は5月13日のツイートでも出火している。

中の人の技量頼みの運用は困難だ。投稿内容に地雷ワードが含まれていれば、投稿前に自動修正するシステムが必要だろう。企業側に偏らない辞書は必須である。

発火の察知には、AIの導入が役立つ。
ホンダの事例のように、コールセンターやメールで受け付けた内容も分析するシステムが構築できれば、消費者の声は届きやすくなる。

ただし、表現上の問題解決は、対症療法にすぎない。
完全な鎮火には、製品仕様と販売方法の見直しが必要ではなかろうか。

まず、仕様。
徐放技術(香りが長く続く)、マイクロカプセルおよび同等の機能を持つ物質の使用(衝突したモノに固着する) 、微粒子化・ナノテクノロジーの適用(容易に体内に侵入する)。この3つを封じたうえでの改良だ。
さらに、香料アレルギーへの対応も必要だろう。

次に、販売方法。
ヒトの嗅覚は千差万別。任意のニオイを感知しにくい個体もある。にもかかわらず、誰でも購入できる。規定量を守らずとも罰則はない。
嗅覚を視覚に置き換えてみれば、わかりやすい。
運転免許制度がなく、視力が規定に満たない人も、裸眼で運転でき、しかも、最高速度(使用量)を自分で設定できる。そのような社会では、暴走車が、予告なしに、自宅へ、学校へ、公共機関へ、突っ込んでくるのも、頷けるだろう。現在の日用品市場は、そのような状況だ。
耳鼻咽喉科の学会などと連携して、各種香料や抗菌剤の嗅覚検査を義務付け、購入を許可制にするなどの方法も、検討する必要があるのではないか。

製品に起因するボヤの事例は、日用品以外でもあるだろう。
企業側の最適解は何か。リプに逐一コメントを返すべきなのか、否か。
炎上対策の専門家たちの知見を聞いてみたいものである。

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