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倫理観を買う時代。「洗濯用洗剤メーカー」人気投票の中間結果に見る、令和の「売れるモノ」

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ねとらぼ調査隊で、洗濯洗剤に関するアンケートが実施されている。

「ライオン」「花王」「P&G」など、「洗濯用洗剤メーカー」人気No.1を決めよう!【人気投票実施中】

中間結果を見ると、石鹸洗剤メーカーの躍進が見てとれる。
衣類を清潔に保つという、洗濯本来の機能を満たすシンプルな製品が、人気を博している。
コロナ禍で、石鹸の良さが見直されたことも大きいだろう。

20年前に、同じアンケートを企画したなら、合成洗剤メーカーの方が、人気だったにちがいない。
だが、合成洗剤は付加価値をまとい過ぎた。香り付けや抗菌・除菌といった機能の必要性が問われている格好だ。

もはや商品は飽和している。
多機能、カスタマイズにも、消費者はすぐに倦む。自転車操業のような、差別化企画。
長らくテレビCMが、購買意欲をかきたててきたが、携帯端末が普及した。セールスプロモーションの場は、テレビからネット広告やSNSに変わった。
媒体が変わっただけではない。消費者同士の交換する情報量が圧倒的に増えた。商品のまとうイメージは簡単にはぎ取られ、販売戦略は見透かされる。

消費者は、調べ、考え、選ぶ。
商品の背後にある企業理念が評価の対象となる。
知的財産と企業活動の行学一致にも、厳しい目が向けられる。
商品という具体的なモノ以上に、開発思想という抽象的なコンセプトが価値を持ち始めている。

作為の見え隠れする広告宣伝は、時代遅れだ。作為なき倫理観に覚える感動が、カスタマーエクスペリエンスの最重要要素になろうとしている。
長期的な視野に立つ、持続する熱情に裏打ちされた製品が、生き残る。革新的な姿勢を失わず技術力を磨き続ける老舗は強い。

わたしは数十年来、石鹸洗剤を使っている。
家族は、従来の粉末合成洗剤を使っている。高残香性ではないので、香るけれども、n次移香は避けられる。

合成洗剤が完全に悪というわけではない。きれいな海と豊かな海は異なる。企業と住民が水質改善に励んだ結果の瀬戸内海は、今、貧栄養化が危ぶまれている。
ただし、それは従来品に限っての話だ。

近年の、付加価値を重視した合成洗剤は、いくつかの研究概要や報告書を見るにつけ、水環境のバランス維持に役立つのではなく 、むしろ環境負荷を増大させる可能性がある。
なにより、わたしは、自分の嗅覚センサーが捉える情報の中に、環境リスクを見出すのだ。

消費者が買いたいのは、単なる商品ではない。「高い倫理観という属性の付随した」商品であろう。

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