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ヴィジュアル、サウンド、テキスト、コードの間を彷徨いながら、感じたこと考えたことを綴ります。

ヒトの行動は、空間と時間で定義される。(2) 時間について。

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(前々回記事の続き)福島原発の行方には、「時間」が関わる状況を、日々目の当たりにする。生命共通の財産である海が汚れることは悲しい(海は、人類共通の財産、ではない。生命共通の財産である)。

未曾有の大災害であることはわかる。だが、それにしても、なぜ、このような状況に陥っているのだろうか。

ニュースや新聞やネットの情報を見る限りにおいては、本来、標準報酬系が適している管理業務や、長期報酬系が適している青写真を描く仕事に、短期報酬系の人々が取り組まなければならないことに原因があるように思われてならない。
以前、オンライン連載(「Webプランニングから始めよう!」)ですこし触れたことがあるが、ヒトの言動と判断は、一度に認識する「時間の長さ」に影響される。そして、その長さは、報酬系に比例すると思われる。

報酬系は、能力や学歴や社会的地位や人間性には無関係である。だが、職種への適性には関係する。
それぞれの報酬系が生きるポジションにあるとき、個人も組織も最高のパフォーマンスを見せる。

短期報酬系は、短期間で結果を生む仕事に、その能力を発揮する。トライ&エラーを繰り返しながら突き進んでいく最前線の実務に向いている。
長期報酬系の方が適している仕事を短期報酬系がこなさなければならなかったり、また、その逆であったりと、適材適所の配置がなされていない場合には、どちらも能力は発揮しにくい。
また、組織の中で、短期、標準、長期の頭数のバランスが崩れることも問題を引き起こす。

では、努力によって報酬系を変えればいいではないか?と思われそうだが、それはそれ、そう単純な話ではないようだ。
報酬系は脳内物質、とくにセロトニンに左右されるという研究もある。

私は、医学や科学で明らかになることが、人間のすべてを証明可能であると思っているわけではない。
だが、いろいろな人間関係を見聞きし体験してきて、脳内物質がヒトの言動に大きくかかわっていることは認めざるをえない。
もっとも、セロトニンについては、腸に多く存在するとも言われている。ヒトの言動は、脳内物質だけでなく、ある一面では、腸内物質に左右されているのかもしれない。

実際、行動特性と食事の嗜好が驚くほど似通っている幾人かのMRI画像と投薬状況を見ると、脳のセロトニン産生が腸内環境と連携し、嗜好を決定しているように見える。一般には、食事の嗜好が腸の働きに影響を及ぼすと考えられているが、これは逆で、腸の機能が食事の嗜好に影響を及ぼしているように思う。

すぐれた経営者は、長期、短期の両方の報酬系を、臨機応変に使い分ける能力を持っている。だが、一般的には、自分の意志で報酬系を変えることは難しい。長期報酬系の私なんぞは、目先の作業をこなしてはいても、常に視線は遠い先を向いている。「いまここ」に固定しておくことは難しい。

空間と時間によって規定される他者の表出された言動をカテゴライズし、それを我々は「個性」と呼ぶ。

我々一人ひとりが、自分と他者の個性を理解し、受容すれば、組織は個性のバランスによって支えられるだろう。

※長くなるので、ふたつに分けました。先の「空間について」も、ご一読ください。

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