1年を振り返って
気がついたらもうすぐ今年も終わりに近づいてきました。
年々時が立つのが速く感じるようになるといいますが、生きてきた年月に対して1年という期間が相対的に短くなるという事実を考えれば当たり前のことかもしれません。
そんなところで簡単に振り返れば、例年と同様自身には大して変化がないというか、成長してないなあという感じです。
今年は顧客あるいは見込み顧客に対して、本社からのメッセージどおりイノベーションという言葉を多く使ったという印象があります。
翻って自分自身で何かイノベーションを起こすようなことを意図的に画策したかというと踏み込み不足は否めません。
まあ言っている自分がそういう状態なので、話していることに何の説得力もなかったことだろうと反省です。
外に目を向ければ、やはり大事件といえば、東日本大震災となります。
阪神大震災に比べれば一撃のインパクトは少なかったとはいえ、これほど長く続いた地震というのは初めての体験でした。
また津波の破壊力は、9.11の飛行機がビルに突っこむ映像と同じく全く現実感がないもので自分の中で事態を咀嚼するのに非常に時間がかかりました。
その後、生活面での多少の不便はあったにしろ自分自身の生活には地震の影響は相対的に非常に軽微だったわけですが、その分被災された方に何か支援をしたかというとほとんど何もできていないことに気づかされます。(経済が落ち込まない様多少の散財をしてお金を流通させたというのはあるかもしれません。)
しかし、壊滅した複数の工場などが非常に短期間で復旧している様を見るにつけ、日本という国の底力を感じざるを得ません。
また今年は例年にも増して著名人で亡くなった方が多いという印象がありますが(特に後半)、中でもやはりスティーブジョブスの死はインパクトがありました。
様々な方が彼の死について語っていますが、なかでもこれは亡くなる前からもよく言われていたことですが、何故日本からジョブスのような人物は現れないのかとか何故SonyはAppleみたいになれなかったのかという企業論というか産業論のようなものがたくさん出てきたような印象があります。
その中の様々な分析はおそらくほとんど正しいとは思いますが、処方箋となるとなかなか即効薬は見つからないというのが実際のところだと思います。
逆に考えれば、現状の日本の強みである超強力な製造業に時代の先を読んだ構想力が備われば、それこそ無敵なわけで、そうなればジャパンバッシングは必至となるはずです。
そんな一人勝ちはあり得ないのではないでしょうか?
12月24日の朝日新聞にホンダの元副社長の入交氏のインタビュー記事が載っていましたが、まさに同じようなことが書かれていました。
細部にこだわり、現場ですりあわせてボトムアップでできばえの良い商品を作ることが得意
でもこれは弱点でもあって、すぐに細部に目が行って、全体を構想できない
まあ二律背反ってことですね。
話は少し変わりますが、こういう話が何故印象に残っているかというと、これこそが自身のビジネスを遂行していく上においての最大の課題だからです。
インターシステムズという会社は米国の会社です。
なので基本的に(というか完全に)考え方はまずコンセプトありきのモデルです。
一方、日本のお客様は、まず細部に目が行きます。
こんな画面は作れるのかとか帳票のレイアウトはこんなふうにしたいけど。。。
正直言って我々の製品はそんなところに全くフォーカスしていません。
また見込みのお客様からは必ず競合製品との比較表の提出を求められます。
こういう要求は必ずしも日本だけの話ではありませんが、こういう話を本社にすると、必ず言われるのは、議論を機能比較の方向に持っていくのは得策ではない、顧客が何をしたいのかにフォーカスすれば、そういう議論は避けられるはずだ。
と全くもって正論なのですが、その指示に従って物事を進めようとすればするほど、説得すべき人々の数はどんどんと増えていくという悪循環です。
このビジネスを10年程度行ってやっとこういう本質的な問題にたどり着いたというのはいかにも遅いという感じですが、この問題は避けて通れません。
本社の考え方、日本人の性向のどちらかを歩み寄る方向で変化させるのはまず不可能なので正面突破は無理そうです。
それでちょっと視点を変えて自分自身について考えてみれば、いわゆる典型的な日本人からは少しずれているような気がしています。
つまり細部にはこだわりがないというかこだわれない。
かといって構想力、企画力に優れるかというとそうでもない。(でもこっちに対するあこがれはある)
なので本能的に察知して純日本企業では成功できないと思って、外資系に転出したというのが多分にあると思います。
自分に限らずそういう性向の人は少なからずいると思うのでやはりそういう人を見つけていくしか方法はないような気がしています。(個人はいいとして組織としてそういう性向が強いというのはさらにハードルが高いとは思いますが。)
来年はこの辺の考えをもっと整理して何とか突破口を開きたいと願う年の瀬です。