医療情報の共有
先週は、本社の医療マーケット戦略を考えている人間が来日し、日本のいろいろな医療関連の人々に海外での動向をお知らせするという機会を設けさせていただきました。
海外では、診療情報を病院間で共有して、地域、あるいは国レベルのデータ共有を行なうという試みが既にいろいろな国で行なわれていて、たとえばブラジルの首都ブラジリアでは、全ての住民にIDが与えられて、そのIDでウェブのポータルにログインすると、その人の検査結果などを自由に閲覧することができるそうです。
こういう話をすると、大抵の反応は、大変すばらしい試みだが、日本では、絶対実現できない
というものです。
中には、現状の医療行政のしくみが全崩壊しない限り、ありえないとかなり過激な意見をおっしゃるかたもおられました。
こういう試みが海外で行なわれつつあるのは、何も市民サービスの一貫というよりは、医療情報を地域で共有することにより、医療過誤に代表される余計な医療コスト削減および医療の質の改善により、住民が医療に関わる必要性を削減するという動機が強いとのことです。
ですので、こういうプロジェクトを推進するにあたって、かなりえらい人(地方自治体や国政のトップなど)の強力なコミット(予算の割り当ても含めて)があるとのことです。
効果のほどがはっきりしないと、コミットした人の面目は丸つぶれということになりますので、事前の準備は、かなり周到に行なわれていると思います。
実際、さきほどのブラジルの例では、このシステム導入後のコスト削減効果については、厳しい評価が行なわれたそうですが、詳細はわかりませんが、大幅なコスト削減が実現できたそうです。
日本では、縦割り行政のもと、病院毎に管轄が違うとか、そもそも医療にどんなお金がかかっているかを全体として把握している組織がない、あるいはどこにその責任があるのか、さっぱりわからないという現状では、日本の医療に関わる皆さんの意見に納得しなければならないという悲しい現実はあります。
でも、こういう試みが欧米の先進国だけでなく、中国やBRICSであるブラジルなどの成長している国々でも、積極的に行なわれている現状を見ると、日本はこのままで大丈夫かという気持ちにもなってきます。