わずか数年でスペシャリティコーヒーブランドを確立した「ブルーボトルコーヒー」と、ひたすら客層拡大を狙うスターバックスが来年新発売する新マイルドコーヒーについて
大不況の影響を受け、苦戦を強いられている米国市場だが、その中で年20%のペースでスペシャリティコーヒーが成長している。18 billion dollar(約1兆4千4百億円)と言われている米国コーヒー市場の8%を占めるようになった。平行してインデペンデントコーヒーショップ(いわゆる町の喫茶店)も増えており、その売り上げは年$12 billion(約9千百億円)にまで上っている。スターバックスのパンプキンラテにげんなりしてしまったコーヒー通たちは、新たなスペシャリティコーヒーショップに通い始めているのだ。その中でも年70%のぺースで成長し、わずか数年にしてブランド化に成功したブルーボトルコーヒーというコーヒーショップに注目したい。
サンフランシスコ発のブルーボトルコーヒー は元クラリネット奏者だったジェームス・フリーマンが2001年に始めたコーヒーショップだ。クラリネット奏者としてやっていくことを諦めた彼は、もう一つの情熱、コーヒーをビジネスにしようとアパートのとなりに小屋を借り、コーヒーを焙煎し始めた。そしてファーマーズマーケット(日本の朝市)に行きプジョーのワゴン車でコーヒーを売り始めたのだ。
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彼のこだわりは、焙煎してから48時間以内の豆しか使わないこと。もちろん豆の選択も厳しく、オーガニックであることはもちろん、豆を摘む人の名前も教えてくれるし、その木の様子も説明してくれるそうだ。そして絶妙に焙煎された豆をサイフォンか、手でいれる。なので当然時間がかかる。にもかかわらず、クチコミで人気を呼び、たまたまサンフランシスコで行われていたグルメ食品ショーに来ていた人々に発見されてからは、人気は不動のものになった。今では、サンフランシスコに数店のショップとニューヨークに2店。もちろんニューヨークにも焙煎所を作った。この秋にはロックフェラーセンターにも出店することが決まっている。
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これだけ人気が出ても、サイフォン、又は手で淹れるという方針は変わらない。オーダーしてからコーヒーが出てくるまで実に5分もかかるので、客の列は長くなるばかりだ。
画像元:http://mocoloco.com/archives/005384.php | 画像元:http://thesomewhere.com/galleries-slider/blue-bottle-coffee/ |
最高のコーヒーを売らなければ意味が無いと考えているフリーマン氏は、挽いた豆を売ることも無い。ある記者が「エスプレッソの豆は挽いてから淹れるまでにどれくらい保存しておけるか」と聞いたところ「45秒」という返事が来たそうだ。同記者はブルーボトルコーヒーのコーヒーを飲んでみて、スターバックスがホンダアコードなら、こちらはアルファロメオのギリエッタだと例えている。そして生涯で飲む最高のコーヒーかもしれないとも。
ブルックリン店においてある京都製ドリッパー。
画像元:http://features.blogs.fortune.cnn.com/2011/09/23/blue-bottle-coffee-james-freeman/
日本には喫茶店文化というものがあり、手で淹れたり、サイフォンで淹れたりする店は少なくない。それでもサンフランシスコに旅行に行った際に訪れてブルーボトルコーヒーのファンになってしまった人は多い。ブルーボトルというのは1683年にウィーンでオープンした西洋初のコーヒーショップ名に由来しているそうだ。
これらの本格派コーヒー党に対し、どの店舗に入っても同じ味を提供し、誰でも気軽に入ることができるスターバックスだが、米国では来年1月から軽めに焙煎したマイルドなコーヒーを売り始める。スターバックスは長年「濃い、苦い」という批評を受けて来た。ニールセンの調査によると40%のアメリカ人がマイルドなコーヒーを好むそうで、新コーヒーで更なる客層の拡大を狙う。
スターバックスもかつてはスペシャリティコーヒーショップだった。シアトルでしか手に入らないものとされ、シアトルに住む友人は幼年時代お歳暮として贈られてきたのを覚えているという。しかし、成長すると共に大衆のテイストを組み入れなければならず、スピード化を図って自動抽出マシンも導入された。バリスタは不要となり、本当のコーヒーファンはだんだんと離れて行ったのだ。こだわりを保ち続けながらビジネスを拡大できるか、ブルーボトルコーヒー、フリーマン氏の力量に期待したい。
http://www.bluebottlecoffee.net/
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