2012年ロンドンオリンピック～P&Gのグローバルキャンペーン「ママの公式スポンサー」としての取り組み
前回の記事では、P&Gのデジタル化の取り組みについてご紹介した。今回は、開幕まであと2カ月に迫ったロンドンオリンピックに関連した、P&Gのユニークな取り組みをご紹介したい。
夏のロンドンオリンピックでは、P＆G、マクドナルド、BMW、アディダス、サムスン等多くの企業がスポンサーに名を連ねている。P＆Gでは、2012年から2020年までのオリンピックのスポンサーを務めると共に、もう1つの「舞台」でスポンサー活動を行っているようだ。「ありがとう、お母さん」と題されたキャンペーンで、オリンピック出場選手のお母さんたちを応援しているのだ。
P＆GグローバルCMOのプリッチャード氏は「P＆Gはお母さんたちを助ける仕事に従事している。全てのオリンピック選手には母親がいて、その母親たち自身が、全ての過程において、アスリートだ」と語る。
P&Gグローバル企業CM（120秒フルバージョン）
このコマーシャルは、ロサンゼルス、北京、ロンドン、リオデジャネイロを舞台に、母親たちが、毎日、目覚まし時計をかけ、送り迎えをし、掃除をし、洗濯し、ご飯を作ってくれる姿を映しているものだ。世界のママが子どもたちを支え見守っている姿と、子供たちがロンドンオリンピックで活躍する姿を通して、母の愛と親子の絆を鮮やかに描く。少し長いがとても感動的なので、ぜひ見ていただきたい。
中国、ブラジル、ロシアを含めた20カ国で、このコマーシャルの異なるバージョンが放映されるそうだ。オリンピック選手の母親を応援するこのキャンペーンは、2010年の冬季バンクーバーオリンピックの際に作り出されたものの延長だが、今回はグローバル規模に拡大。P＆Gはこのキャンペーンの費用を公表していないが、WPPのカンターメディアによるとP＆Gの2011年のマーケティング費用は、$3.02 billion（約30億ドル＝約2400億円）とされている。
P＆Gはロンドンオリンピック終了まで、「オリンピック選手を育てる」と題されたミニドキュメンタリーを公開する。このミニドキュメンタリーは、FacebookやYouTube等のソーシャルメディアを含んだネットで今後見られるらしく、消費者は「Thank you Mom」モバイルアプリを使って、ビデオや写真をアップロードしたり、母親に「ありがとう」のメッセージを送ることができるらしい。（米国情報のため、各国の展開や実施時期については不明）
2010年の冬季バンクーバーオリンピックの際には、P＆Gは米国代表選手の母親たちが子どもたちの競技を見ることができるように、飛行機代、ホテル代を提供したそうだ。5月に行われるイベントで、P＆Gは、ロンドンオリンピックにおいても、似たような活動を発表すると見られる。
ちなみに、日本では、女子サッカー「なでしこジャパン」の澤穂希選手とお母さんの動画が公開されている。
「生まれてきてくれて、ありがとう。」編～お母さんから娘への手紙
母と子、それぞれの想い。編～母と子のドキュメンタリー
P＆Gは、150人のオリンピック、パラリンピック選手たちのスポンサーになり、この中の選手たちがP＆G製品のコマーシャルに登場する。例えば、パンパースのコマーシャルにはビーチバレーのKerri Walsh選手が登場し、ジレットのコマーシャルには、陸上競技選手のTyson Gay、水泳選手のRyan Lochteが登場する。
更に、オリンピック選手にはなれなくとも、スポーツを楽しむ子どもと母親を応援するため、資金集めのイニシアチブをとることを発表。「P&G. Team USA Youth Sports Fund」と呼ばれ、P＆Gは$500,000（50万ドル）をいろいろな企業からP&Gが中心となって調達したいと考えている。パンパース、パンテーン、タイド等の商品の購入や企業からの寄付の他に、「Thank You, Mom」Facebookページで「いいね！」1つごとに1ドルを寄付するという（$100,000まで）。
https://www.facebook.com/thankyoumom
P＆Gは174年間というその長い歴史の間、家庭で使用され、家族に愛される製品を提供してきた。それと同時に母親に愛のメッセージを送り続けた。「世界中のすべてのママにエールを贈ります。」とホームページで語っているが、このエール、どこまで世界中の母親たちに届くだろうか。
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