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マーケティングコンサルティング会社「サイコス」CEOの大航海ブログ

災害時のマーケティングを学ぶ~米国ハリケーン被害に便乗し、反感を買ったGap とAmerican Apparel。反対に好感を得たカード・保険・航空会社まとめ~

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先月末、米国東部を襲ったハリケーン・サンディは100人以上の死者を出し、数百万世帯が電気を失った。ニューヨーク市の地下鉄は水浸しになり、数々の企業は休業を余儀なくされた。

そんなハリケーン・サンディ災害に便乗してマーケティング活動を行い、ハリケーンが治まる前から、不適当だとネットで非難されているブランドがいくつかある。1番非難されているのは、American ApparelとGapのようで、共にツイッターやメールを使用したソーシャルメディアにおけるマーケティングを行った。

米国ニューヨークタイムズに、この2つのアパレルメーカーなど、今回のサンディで、どのようなマーケティングが人々に好感を持たれ、どのようなものが、災害につけ込んだマーケティングとして反感を持たれるのかという記事があったので紹介したい。


http://inhabitat.com/nyc-public-transit-system-crippled-after-hurricane-sandy-causes-widespread-flooding/

まず、冒頭に書いたようにAmerican ApparelとGapを含む便乗マーケティングとひんしゅくを買った企業を紹介したい。

■反感を買った企業事例

  • 日本にも店舗を置くAmerican Apparelは、ツイッターで、ハリケーンサンディセール開催の宣伝をした。チェックアウトのコードを「サンディセール」としたところ、ツイッターで「このハリケーンで人々が亡くなっているというのに、なんて不謹慎な」と苦情の声が寄せられた。
  • Gapは、サンディの被害を受けた人々に「安全に」と呼びかけた後、 “We’ll be doing lots of Gap.com shopping today. How about you?” (私たちは、今日Gap.comで沢山の買い物をするけど、あなたは?)と記述した。
  • その際Gapは、以下の図のように、foursquareのサイトを紹介し、チェックインするように誘導していた。そこには、“Frankenstorm Apocalypse - Hurricane Sandy.”(フランケンストーム 世の終末―ハリケーン・サンディ)とハリケーンで被害が出ている中、キャンペーンとして買い物を促進し問題となった。Gapは後に謝罪したそうだ。ちなみに、フランケンストームというのはサンディがハロウィーン時季に来たことからつけられたニックネームだそうだ。


Twitter @Gap 問題となったコメントとフォースクエアへの誘導画面
http://www.businessinsider.com/the-9-biggest-brand-fails-exploiting-hurricane-sandy-2012-11?op=1

  • 家具、陶磁器、インテリア等を販売するJonathan Adlerは、ツイッターとメールで“storm our site” and obtain free shipping by entering “code Sandy at checkout.”(“私たちのサイトを襲撃”、チェックアウトの際にコード「サンディ」を入力、送料無料をゲットしよう)と促した。後に謝罪し、コードを“Stuckinside”(缶詰になる)、“Freeship1012”(送料無料1012)に変更したそうだ。

以上は、顧客から配慮がなさすぎる、無神経だと苦情が寄せられている例だが、災害時に行われたPRの中には、好評だったものもある。以下に見ていこう。

■好感を持たれた企業事例

  • 保険会社であるオールステートはラジオを利用して、保険加入者がどのように補償支払いを要求すればよいのかを説明。
  • アメリカン・エキスプレスはメールで、ハリケーンで被害を受けた地域のカード保有者に対し、緊急で、医療と旅費における補助を提供。
  • ジェットブルー航空は、このハリケーンで影響を受けた顧客に対し、11月14日までの変更・キャンセル料を免除した。
  • ドラッグストアであるウォールグリーンは、メールで、“doing everything possible to make sure we can continue to serve the health and daily living needs of you and your loved ones.”(あなたとあなたの大切な人々の健康と、日常の必需品を与えるために、できるだけのことをしています)とのメッセージを送った。
  • P&Gが販売している電池ブランドのDuracellは、Duracell Rapid Responderと呼ばれるトラックをニューヨーク市内に派遣し、人々に電池や懐中電灯を配ったり、ケータイ、パソコン関連の機器を充電できる充電スポット(charging locker)を提供した。


マンハッタンに派遣されたDuracellのトラック
http://www.nytimes.com/2012/11/01/business/media/marketers-ride-the-coattails-of-a-storm-not-all-successfully.html?ref=media&_r=0


http://www.michaeltchong.com/service-marketing-duracell-rapid-responder/

都心部の半分が停電になったことを想像するとわかるが、乾電池は被害者が最も必要としたものの一つだろう。Duracellファンのフェイスブックページには人々からポジティブなコメントが寄せられているそうだが、このビデオを見るといかに人々に喜ばれたのかが見て取れる。

企業の中には、コカ・コーラのようにすぐに行動に移さず、ハリケーンが治まるまで待ち、100万ドルの寄付を発表したものもある。バッシングを受けたGapも11月に入り、100万ドルの寄付を発表したが、こちらは炎上したので取り繕ったという様にもとられ、企業イメージの向上としてはあまり効果がないようだ。プロモーションを優先した代償はとても高くつく事例となった。

■まとめ

サンディセールを宣伝した小売業の中には、当初、被害の規模がこれだけになると理解していなかったものもあるだろう。しかし、今回はニューヨーク市内も多大な被害を受け、残念なことに死者まで出てしまった。好評となった事例に共通しているのは、関連する言葉の語呂合わせをしなかったことのようなのだが、本質的には、サンディに便乗して商売をしようとしていたのではなく、被害者が今本当に何を必要としているのかを一歩進んで考え、それを迅速に提供したという点にあるだろう。相手の立場になれば簡単にわかりそうなことだが、普段から相手のことを考えていないと急には実行できない。当たり前のことを徹底することは簡単そうで、難しいのかもしれない。

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