【プロカメラマンとアマの違い】プロだからこそ撮らない。
(Specialオルタナトーク「プロとアマチュアの違い カメラマン編」参加記事)
先日、銀座のアップルで行われた「Jazz & Photo Talk 1961~2012」というイベントに参加させていただきました。こんなふれこみです。
「日本のジャズ創生期から、ジャズの歴史を撮り続ける”DIG” “DUG”のオーナー中平穂積、帝王マイルスに許された唯一の日本人フォトグラファー内山繁、そして現在のジャズ・シーンを切り撮るニューヨーク在住のジャズ・フォト・ジャーナリスト常盤武彦、時代 を繋ぐ3人のフォトグラファーが、ジャズを魅せます、語ります。」
ジャズファンならこの文章を見ただけでドキがムネムネ状態になってしまいますが、もう期待を大幅に上回る素晴らしいイベントでした。世界で唯一の「カラーのコルトレーン映像」や、笑顔のマイルス、ロリンズの自宅の様子など、怒涛のフォトトークでした。
詳しくは内山さんのブログをご覧いただければと思うのですが、世代の違うお三方の、写真に対する考え方の違いなど、非常に面白い、興味深いお話を聞くことができました。
中平さんはフィルム世代、内山さんと常盤さんは最近はもっぱらデジタルでの撮影なのですが、中平さんは手持ちのフィルムのことなどを考えて、シャッターチャンスは一撃必殺派なのに対して、常盤さんはライブ一本で1000枚も撮っちゃう!
もちろん正解はないし、どちらも素晴らしい写真を残されているのですが、中平さんの言葉でちょっとジーンとくるものがあったのでご紹介。
当然のことながら、彼らの被写体は人間です。しかもジャズミュージシャンという、「一筋縄ではいかない」人々。いい写真を撮るには、というかそもそも写真を撮っていいかどうかは、そのミュージシャンとの人間関係次第なんですね。
ですから、決定的なシャッターチャンスを目の前にしながら、その場の雰囲気的に撮りづらいシーンが往々にしてあると。当然、カメラマンという仕事的には「どさくさに紛れて撮ってしまいたい」わけですが、ひとりの人間としては「撮れない」し、「撮らない」わけです。
中平さんによれば、「そういうときは心のフィルムに撮っておく」のだそうですが、きっとそうした「撮れなかった写真」が心のなかにあるからこそ、次のシャッターチャンスにはその思いも反映したすごい写真が撮れるんだろうなと思いました。
わたくしなんか、普段なーんも考えずにシャッターボタン押しておりますが、プロだからこそ「撮らない」という言葉、深いなぁと感動した次第です。