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【あらためて思い知った】売れる本の条件とは?

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最近、読書系の会によく参加するようになって、以前読んで「おもしろい」と思った本を、ポロポロと読み返すことが多くなりました。そこで気づいたこと。

「おもしろい本は、はじめにの一行目からおもしろい。」

いや、全部おもしろい本だから、一行目も当然おもしろいだけなのかもしれません。でも、この「本文でない序章の一行目」で、どれだけ読者を引き付けられるかって、確かに重要だよなとあらためて思いました。

というのは、冒頭の文章をおもしろくすることで、単に読者を「釣る」目的があるのはもちろんですが、そこで急速に読者の心をあたためて、さらに「この本はおもしろい。鉄板だ。」という気持ちにまで持っていくことで、読者はその後の読み進み方が非常に楽になるというか、スムーズで楽しくなるんですね。

少し例を挙げてみますと、五木寛之さんの「気の発見」という対談本。出だしはこうです。

見えない世界への旅のはじめに

「気」というものの存在について、私はあまり真剣に考えたことがない。
いまでもそうである。

しかし、見えないから「気」は存在しないなどと考えたことは一度もなかった。
また科学的に証明されないから「気」はありえないと考えたこともない。

むしろ実験によってその存在が確認されるような「気」なら、
それほど興味もおぼえなかっただろうと思う。

「気」は見えないから面白いのである。
科学的に計測される程度の「気」は、手にとって遊べるオモチャのようなものだ。

家族愛にせよ男女の愛にせよ、「愛」というものも、また、目に見えない世界である。
しかし私は「愛」というものが偉大な力を発揮する場合があることを疑わない。

もし「愛」の度数や質量を計測することができるとしたら、そんな「愛」に関心はない。
「愛」や「憎しみ」は目に見えないが、それをまざまざと感じることができる。
その作用を予想することもできる。
私はその存在を信じている。

「信」ということもそうだ。信仰の度合いを数字であらわすことはできない。
しかし、信仰のために命を賭けた人びとが数多くいることを、私たちは知っている。(つづく)

五木さんという大作家が、「気」という、人によっては怪しいと思われるテーマを語るうえで、その「誤解のようなもの」を解き、さらには「共感」を得て、むしろ「もっと読みたい!」と思わせてしまう内容になっていると思います。

この冒頭の「定義」が最後まで効いていて、わたくしたち読者はものすごく楽しく読書をすることができます。

もうひとつ。こんどはもっとストレートな感じですが、あのベストセラー「フリー」です。

プロローグ

伝説のコメディーユニット、モンティ・パイソンのオリジナルメンバーでいまだ健在の面々は、自分たちのビデオがデジタル世界で大々的に著作権侵害に遭っていることに圧倒されていたが、2008年11月にユーチューブに登場して、反撃ののろしをあげた。

「この3年のあいだ、君たちユーチューブのユーザーは、われわれの作品を盗んでは何万本もの映像をユーチューブに投稿してきた。だが、今から立場は逆転する。われわれが主導権をにぎるときが来たのだ。

(中略~公式チャンネルで高画質な過去作品をアップすることを表明)

しかし、われわれは見返りを要求する。
君たちの無意味でくだらないコメントはいらない。その代わりに、リンクページからわれわれの映画やテレビ作品を買ってほしい。
そうすることで、この3年間、盗まれつづけてきたわれわれの苦痛や嫌悪感をやわらげてほしいのだ。」

3ヵ月後に、この無鉄砲な無料映像配信の試みはどんな結果となっただろうか。モンティパイソンのDVDはアマゾンの映画とテレビ番組のベストセラーリストで2位にまで上がり、売上げは230倍になった。
どうだ!
無料にした効果はあった。それも見事なほどに。(つづく)

こちらは強烈な数字をこれでもかと突きつけていますね。単純ではありますが、これで読者の心には「フリー」に関する基本概念がグサっと刺さり、あの分厚い本を最後まで読み切る原動力が生まれます。

どちらも、ほんの数行で勝負を決めています。ここがカッコいい。
ウェブページもそうですが、ユーザー、読者が「もっと見る」と判断する時間は極めて短いです。そこで確実に心をつかみ、進んで購入するように誘導する。

振り返ってみますと、拙著はこういうところ、非常に弱いなと思わざるをえません。
「優秀なコピーとは、次の文章を読もうとさせるコピーである。そして次の文章も、そのまた次の文章を読ませるための・・・」ということはわかっているつもりですが、いざとなると難しいものですね。

非常に単純なことですが、売れる本の秘密が、少しだけわかったような気がしました。

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↑やはり同じ大きさでは並べられませんでしたw。

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