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「脳内ビジネス」の話はまたにします!

ルールのルール

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先日、ネットを徘徊していたら、こんな記事を見つけました。
長いので、簡単に要約しますと、
・まず、仕事というのはいったん中断されると、復帰するまでに何十分もの時間がかかります。
・筆者が中断されたくないサインを出しているときは絶対に入ってくるな、といくら言っても入ってくる人達がいる。
・困った人種だが、実際に彼らをそうさせているのは筆者自身の甘さだ。
・彼らに嫌われるのが怖くて、ついついルールを曲げて応答してしまう。
・だから彼らはルールは破ってもいいと思ってしまう。
・ルールというのは、一度決めたら絶対に曲げてはいけない。
・それによって、彼らはルールを破っても求める結果が得られないことを学習するから、ルールを破らなくなるのだ。
と。
むちうちになるほど頷ける内容です。私も会社で、このようなルールの運用について考える立場なので、本当にそう思います。
キーワード的には「ゼロトーレランス」「割れ窓理論」ですね。
「ゼロトーレランス」とは、部下が何か事情があって今回は大目に見てもらいたいと言ってきても、絶対に許さないということです。ルールの執行人は耐えない。「無理!」と即答する。
「割れ窓理論」とは、もしルールを破っているような状態がほんの僅かでも見つかったら、即座にそれを修復して違法状態が無いようにする、というものです。
この二つは、ルールを運用する上で非常に重要な考え方で、これを実行することによって、ルールはきちんと守られ、かつ守る側も守らせる側もストレスが最も少ない、と言われています。
ただまあ、物事はそう単純ではありませんね。
この記事のことを反芻しながら考えているうちに、昔ちょっと考えさせられる出来事があったことを思い出しました。
それは私がまだ小学校1年生の頃です。
小学校に上がって、一人で勝手に出歩いて良くなった私は、あるとき道で100円玉を拾いました。
『お金を拾ったら交番に届けるもの』と教わってきた私は、迷うことなくそれを交番に持っていきました。
すると交番の中から、がたいのいい、やや年配のお巡りさんが、出てきて言いました。
「おおー。君はとてもいい子だな。それじゃあな。ご褒美にこのお金は君にあげよう。」
と。私は嬉しくて嬉しくて、そのお巡りさんにお礼を言うとともに、そのお巡りさんが大好きになりました。
それからしばらくして、私が友人と遊んでいると、友人もまたお金を拾いました。100円だか50円だか忘れましたが、100円としておきましょう。
私はそれを見て、「ああ、それね。交番に持っていくともらえるよ。」と言いました。子供っていうのはどうしようもないサルですね。
友人も「へえ、それはいいね」ということで、二人して交番に持っていくと、今度は別の若いお巡りさんがいました。若いお巡りさんは、私たちの話を聞くと、「・・・じゃあ」ということで椅子に座らせ、面倒くさそうに書類を取り出し、細かく聞き取りをしながら記入を開始しました。
お金は友人が拾ったもので、私は、途中で外に出て時間を潰していましたが、相当の時間がかかったのを記憶しています。
遊ぶ時間が完全になくなって泣きそうになった記憶があります。こんなことになるなら、お金なんか届けなければよかった...と後悔しました。
この2つのエピソードで思うのは、ルールを厳格に守らせるって言ったって、所詮拾ったのはたったの100円です。
誰もそんな金額を取りに来ることはないですし、もし万一相当レインマンな人で、しっかり落とした場所と金額を覚えていて取りに来たところで、リカバリー出来る損害額は100円です。
それに対して、このお巡りさんが1時間かけて書類を作るとどんだけの人件費がかかるでしょうか。安く見積もっても数千円は行きますし、この手続きが終わった後その100円玉を保管金庫か何かに入れて、台帳につけて管理するのです。明らかに大赤字です。
言ってはナンですが、こんなのは「杓子定規に適用することのデメリット」というのが大きいです。
年配のお巡りさんの対応は、子供には「お金を拾ったらまた持ってこいよ」という教育もしつつ、「今回は小銭だからあげた。大きなお金ならちゃんと処理する。」という分岐を入れられる訳なので、もっともよい対応だと思います。
一方、若いお巡りさんの対応は、それがもし仮に私達にソガキが。二度とそんな小銭を届けてくるなよ。」という意味でわざとゆっくり書類を作っていたならそれはそれでヤル対応と思います。
ただ、そうでなく、これはルールだからということで、最低のモチベーションで書類を書いていたのなら、それは愚かな対応だと思いますね。少なくとも二人の子供は、それ以降「お金を届けると、お金ももらえず遊ぶ時間もなくなる」と学習してしまったわけですから。
ルールは、その性格によっては、運用する人間の裁量というのが重要であることもあります。
ちなみに、ちょうどその年、勤務中に競馬中継を聞いたり、拳銃をぶっ放したり、麻雀やったり、ルール完全無視のお巡りさんが主人公の連載が某雑誌で始まったのですが、幼い私たちにはまだ知るよしもありませんでした。
ジャンプよりも断然チャンピオンの甘酸っぱい時代でした。

 

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