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「こんな時だからこそ、広報どうする?」オンラインでの記者発表会について

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3月頃から、新型コロナウイルス感染症の影響で、「海外エグゼクティブの来日がなくなり、記者発表会を中止に」、「急遽オンラインでの記者会見に切り替える」などの声を、企業側や代理店側で広報に関わっている方々から多く聞くようになってきました。

そのような中で、企業側は、どのように記者発表会を運営したり情報を発信していったら良いのか?メディアは、それをどのように受け止めているのか?これらを紹介するタイムリーなイベント「こんな時だからこそ、広報どうする?」に、運営サポートをしつつ参加しました。もちろん開催は、どこかに集まるのではなくZoomで。皆さんの興味も高く、申し込みは107名に達しました。

本イベントは、BtoB IT企業の広報、マーケを支援する加藤恭子さん(株式会社ビーコミ 代表取締役でありオルタナティブブロガー)が主催されたもので、プレゼンターとして、企業側の立場からは、Sansan株式会社PRを統括している小池亮介さん、記者側の立場からは、フリーライターの三浦優子さんが登壇されました。

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はじめに、モデレーターの加藤さんから、会の趣旨と参加者の皆さんから集まった声が紹介されました。大別すると下記の4つに集約されています。

  • オンライン会見について(運営方法やモチベーションの維持などどのようにすれば良いか?)
  • メディアプロモーションをどうしたら良いか?
  • 広報のスタンス、戦略はどうする?
  • その他(対面取材のジレンマ、他社広報との連携など)

記者の立場から見たオンライン会見

まずは、三浦さんから、「IT業界オンライン会見動向」についてのプレゼンテーションです。その中で気になったポイントをいくつか記します。

1. オンライン会見に臨む記者側も準備が必要

オンライン以前のこれまでの会見では、記者が会見場にノートパソコンを持ち込んで、スポークスパーソンの話を聴きながらパソコンでメモをすることが一般的でした。しかし、オンラインの会見では、記者側がノートパソコン一台では厳しいという状態になっているようです。というのも、記者は、会見の際、プレゼンテーションを目で追うことも大事ですが、更に話者がどのような表情で話をしているかも重要な情報として見ています。これが、オンラインの会見で、プレゼン資料をノートPCのモニタに映してしまうと話者の顔が見えないし、話者の顔をうつすと逆にプレゼン資料が見えないという自体に陥ってしまいます。これを解決するには、記者側が自分の作業スペースに大きなモニターを用意するということもできますが、そうなると記者の環境頼みになってしまうので、広報側でできることとしては、「会見の前に資料を送ってくださると、会見時は画面でスピーカーの顔を見て、資料をプリントアウトで手元に用意するなどして内容を聞けるのでありがたい」とのアドバイスがありました。

2. オンライン会見は歓迎

3月は、元々予定していた記者発表会を急遽オンラインの発表会に切り替える企業が多かったけれども、4月に入って、オンラインでさえ会見の数が減ってきており、去年と比較しても記者発表会の数が少ないそうです。三浦さんからは、「難しい時期だと思いますが、オンライン会見どんどんやってください!」との嬉しいお言葉をいただきました。例えば、その日に三浦さんが参加したのは、オンラインで行われた神戸市とUber Eatsの提携発表会で、開催前日に案内が届き、急遽参加したとのことでした。「地方自治体の会見に東京から参加するなど今まではありえない」ということで、これもオンライン会見の利点です。先日他の記者と話をした際も、オンラインの方が会見への参加のハードルが下がるという意見でした。企業側にとっては、これを一つのチャンスと考えることもできそうです。

3. オンライン会見の課題

オンライン会見での課題としては、「写真が撮りにくい」、「名刺交換ができない」、「質問がしにくい」、「会見にきた人との雑談ができない」、「メモが取りにくい」、「長時間の物は集中力が持たない」などがあげられました。例えば、写真に関しては、プレスキットとしてスポークスパーソンの写真を複数用意しておく、または、当日の写真をすぐに提供できる体制を整えておくなどの対策をとることができるでしょう。また、オンラインでの会見では、ある程度メリハリをつけてスピーカーに話してもらうなどの工夫が必要になりそうです。

Sansan オンライン会見の事例

次に、3月に実際にオンライン記者発表会を開催したSansanの小池さんからのプレゼンテーションです。こちらも気になったポイントをいくつか紹介します。

1. コロナ渦中での守りと攻めの広報

まず、Sansanとしては、コロナ渦中でも「守り」と「攻め」の両面から広報を考え、まず守りとしては対策委員会を設置しています。その上で、下記スライドにあるような、対外発表フローの構築や感染者発生時のリリース準備を行っています。また、攻めの広報として、コロナ渦中でもビジネスの動きを止めないように、社会の状況を見ながら、出しても良いと判断した情報は提供するということを心がけていたそうです。その中の一つとして、オンライン記者発表会の開催がありました。

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2. オンライン記者発表会の準備として何が必要か?

オンライン記者発表会を開催するにあたり、Sansanで挙げられた要件としては、「不安定な放送にしない」こと、「記者さんにはストレスなく参加してもらえるようにする」こと、「5社のパートナーコメントを完璧に」することでした。その上で、下記のようなポイントが説明されました。

  • 不安定な放送にしないために、社内で使い慣れたツールであるWebexを使用した。しかし、Webexは閲覧側の初期設定が難しいので、Webexを利用しながらYouTube Liveで配信。質疑応答は、YouTube Liveのチャット機能を利用した。
  • 記者の利便性を考え、プレゼン資料は当日の朝お送りした。
  • パートナー各社のコメントは、5社のそれぞれのオフィスから行われた。各社でネット環境や機材がバラバラなので、リハーサルを前もって行った。複数回のテストが必要な場合に備えて、前週または前々週に行うことが望ましい。
  • 会社内のイベントスペースで開催した(下記写真参照)。スムーズな運営を目指し、可能な限り役割を細分化し臨んだので、スタッフに関しては、通常の3倍くらい人員が必要となった(下記写真の左側のテーブルに座っているのがスタッフの方々)。
  • 画像の提供は、当日プロのカメラマンに撮影をしてもらい、発表会終了後12時間のうちに記者に提供した。

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3. オンライン会見のメリット・デメリット

オンライン会見のメリットデメリットについて、下記写真のスライドのようなポイントが挙げられました。「記者との距離を超えられる」というのは、三浦さんも挙げられていたポイントとして興味深いです。日本国内に限らず、時差を考慮する必要はありますが、海外との会見についても機材が整っていればやりやすくなりそうです。また、「通常とは異なるメディアに参加してもらえる」というポイントとして、今回のSansanの発表会の場合、35名の参加記者のうち10名がこれまでにお付き合いのない記者だったそうです。デメリットとして挙げられている「質問のインタラクティブさがなくなる」点や、「記者との雑談が発生しない」点などは三浦さんのポイントとも似通っていて、ここも双方で何らかの工夫が今後必要になってきそうです。

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広報も記者もお互いに新しい試みとして模索する中、最終的にオンラインでの会見や取材などで、新たな機会が増えていけば理想的だと感じています。最後に、今回のイベントでも話題になったオンライン会見に関する記事のリンクを下記にご紹介します。フリーランスジャーナリストの大河原克行さんと、フリーランス・ITジャーナリストでありオルタナブロガーでもある谷川耕一さんの記事で、広報担当者は必見です。三浦さんによると、下記記事に「50分ルール」が記されていたからか、それを実際に反映させている会見の案内が最近複数見られたとのこと。オンライン会見のルールとして定着するかもしれません。

<関連情報>

新型コロナウイルス対策、各社の「記者会見」はどう対応しているのか?(Internet Watch、2020年2月27日)

「新型コロナのある社会」に適応しつつある「記者会見」の現場事情、「増えるオンライン会見」で変わるものとは?(Internet Watch、2020年3月13日)

定着してきた「オンライン記者会見」、新型コロナ禍1ヵ月で見えてきた工夫と課題(Internet Watch、2020年4月7日)

今こそオンラインの世界でビジネスの価値を最大化する工夫を(むささびの視線、2020年4月8日)

こんな時だからこそ、広報どうする?」に関するツイートまとめ

上記は、2020年4月10日時点の情報です。

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