アジア発SMSプラットフォームの覇者は?: SOCIAL MEDIA WEEK TOKYO 2013
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今日は、SOCIAL MEDIA WEEKのアジアに関するセッションの二つ目、「アジア発のスマートメッセージコミュニケーション潮流は世界を刺激するのか?」について。本セッションのスピーカーは、株式会社リンケイジアジャパン 代表取締役社長の金相集さんです。お名前が、「相集」なので、「『お互いに集まる』という、まさにソーシャルメディアをやれと言われているような名前」とおっしゃっていました。
まず、2000年代(主に2003年~)は、「米国から世界へ、PC中心のSNSプラットフォーム」が発達してきた時期。Friendsterや、Myspace、Twitter、Facebookなど。その後、2010年からは、「アジアから世界へ、 モバイル中心SMSプラットフォーム」の台頭がみられる。主には、「WeChat(中国)、 LINE(日本)、カカオトーク(韓国)」。この流れを受けて、では「2013年以降の覇者は?」というのが、このセッションのテーマでした。
<ネットワーク分析によるTwitterとカカオトークの「intimacy(親密性)」の比較>
ハイライトは、金さんの専門分野であるという、ネットワーク分析の部分。実際に、金さんが利用する、Twitterとカカオトークの比較でした。
真ん中の赤い円が自分を表していて、まず初期段階では外円にいる他者とつながっている。自分とつながる他者が、真ん中の円(=自分)に近づけば近づくほど、「intimacy(直訳は、「親密性」)」が高まっているといえる。
これを比較すると、カカオトークは、利用開始してから年月が経つごとに、他ユーザーとの「intimacy」が高まっている。一方Twitterは、「自分自身があまりつぶやかなくなった」こともあり、少なくとも金さんの「コミュニティは崩壊し」てしまったとのこと。
<2013年以降の覇者を決めるのは?>
まとめとして、2013年以降の覇者を決めるであろう要素が三つ紹介された。
1. 持続的関係動機の付与
SMSの繁栄においては、ユーザーに持続的な関係を持たせる動機を与えることが必要。下記スライドの通り、それは、「Communication」の段階、「Game」の段階、「Entertainment」の段階に発達していく。WeChat、LINE、カカオトークの三者において、現時点では「LINEやカカオトークは、『Game』までは成功しているが、その上はまだ」提供できていないため、これをどのように提供していくかが鍵になる。
2. コアメンバーの獲得
上述の「ネットワーク分析」の図でみたように、ユーザーが真ん中の丸(すなわち自分)に寄って来る=「intimacyを高める」ことが重要。これを高めるためには、「コアユーザーをもっと入れていく」必要がある。例えば、「カカオトーク」や「Comm」は、LINEの抱えている多くのユーザーを「どう乗り換えさせるかという戦略を考えなければならない」。これは、以前の「mixiとFacebookの関係にみてとれる」。例えば、金さんが「mixiからFacebookに移行した理由は、友達がそちらにいるから。つまり、誰かが移行したからついていった」。
3. 開発スピード&コスト
「観戦する側としては、LINE、カカオトーク、Commがどういう戦略を出してくるか」が楽しみであり、そして、「それが日本だけではなく、アジアでの覇権争いになれば面白いと思っている」とのこと。
<中国では?>
最後に「中国版LINEと呼ばれるWeChat」について、中国ソーシャル事情に詳しい、岡俊輔さん (株式会社S&Aマーケティング 海外事業部長)から、紹介がありました。WeChatは、腾讯(Tencent)社が提供するアプリで、「既に3億ユーザー」を有し、多言語展開も特徴。説明を聞いている中で面白いなと思ったのは、中国の若者の中では、このWeChatを使って「ボイスを録音したものを送り」あうことが流行しているそう。テキスト打つ時間がもったいないのか?それとも、相手の肉声が聞きたいのか?いずれにしても、面白い現象ですね。
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