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アメリカでエンジニアとして働く新井さん

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今週月曜日、オルタナブロガーの加藤恭子さんのご紹介で、「アメリカでエンジニアをしている新井さんにお話を聞こう!」という会に参加してきました。

新井正広さんは、エンバカデロ・テクノロジーズで、ローカライゼーション/ドキュメント担当マネージャを勤めています。現在はサンフランシスコの本社で勤務していらっしゃる新井さんに、「米国で働くことになった経緯」や、「英語の勉強法」、「ローカライズという仕事について」など、ざっくばらんにおうかがいするのが、今回の主旨でした。

私は、その中でも、「どうやって様々なバックグラウンドのメンバーをまとめるか」という点に興味があったので、その点を中心に本ブログ記事にご紹介します。
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<バックグラウンド・国籍なども様々な、30人のチームメンバーをまとめるには?>

新井さんは、99年に新卒で入社し(当時はボーランド)、その後、テクニカルサポート(国内)→マーケティング(国内)→米国本社でのソフトウェアのローカライズという役割を担ってきました。

米国本社に移ったのは、2004年のことですから、もう8年半も米国で働いていることになります。現在は、アメリカ、カナダ、スペイン、ルーマニア、ロシア、日本の6か国を含む30人ほどのメンバーとチームを組んでいるとのこと。そのようにバックグラウンドが様々なメンバーをまとめるコツを、新井さんのお話の中から三つ。

1. 難しい英語は使わない
6か国のチームメンバーの共通言語は、やはり英語です。しかし、アメリカは別として、むしろ英語ネイティブのメンバーは少ない状況です。それらのメンバーに何かを伝えるときに、新井さんが心がけているのは、①難しい英語は使わないことと、②日本語で普段しゃべっている感覚でしゃべらない=つまり、そもそも英文で考えて、シンプルに話を組み立てることだそうです。この②番目にあたる、「(日本語の感覚ではなく)最初から英文で考える」というスキルが身に着いたのは、やはり現地で勤務してから2~3年がかかったということでしたが、①の「難しい英語は使わない」というのは、すぐにでも実践できそうですよね。

2. 品質に関する感覚は、それぞれ違うことを認識する
これについて、新井さんが例え話として挙げたのが、サンフランシスコから日本に帰国する飛行機でのエピソード。乗ったのは日系の飛行機会社で、搭乗が10分遅れた。しかし、到着は20分早かった。その時、航空会社は、搭乗が10分遅れたことを詫びていたけれども、アメリカ的な感覚からすると、「間に合ったのになぜ謝る必要があるの?」となるということでした。また、カリフォルニアでは停電は良くあることなので、信号が止まったりしても混乱はしないが、日本では事情が違うという話。このように、米国と日本だけをとっても、「物事の品質に関する感覚や要求が全く違う」ということを認識することが大切。これを念頭に置かずに、日本人の感覚で品質の話をすると、他のメンバーは「なんで?」となってしまう。

3. プロジェクトの目標、ロジックを何度も口をすっぱくしていう
チームをまとめるために、「プロジェクトの目標/ロジックを何度も伝える」ことが重要。これにより、プランが変わった時にでも、一貫性を保てるとのこと。

<失敗談は?>
最後に、「各国のメンバーをまとめるために、上記以外のコツや失敗談はありますか?」と質問をしたところ、「失敗談ではないが、一番難しいのが『人事考課』」とのお答えでした。例えば、部下のアメリカ人の人事考課をする際に、「Great」だけではすまない。もちろんポジティブな評価も、ネガティブな評価も伝えなければいけない。ネガティブな評価に関しては、「それ(=ネガティブな評価)を、突然人事考課の時に持ち出したりすることは避ける。普段から、気付いた時にすぐに伝えるようにする」こと。

<採用について>
採用面接においては、「性別、国籍、宗教、結婚や子供の有無は聞いてはいけない」ということでした。なぜなら、「技術的にその仕事ができるかどうかということと、これらの条件は全く関係が無いから」との理由。そのような質問をしてはいけないということは、人事から、徹底して言われているそうです。また、ソーシャル(特に、LinkedIn)は、採用活動に活用されているとのことでした。

最後に、「仕事で米国に行くチャンスがあるのであれば、行ってみると面白い!」というアドバイスでした。理由としては、米国には、新興国(中国、インド、東欧など)の人々が、自国の何倍もの給料での仕事を体験している。日本と米国の給与の対比はそこまでではないので、そういった国々から来る人たちは、やはり目のギラツキ感が違うとのこと。そのような人たちに揉まれながら仕事をすることは、日本にいてはなかなか得難い体験なんだということでしょう。まさに、シンプルな言葉の中に、新井さんの経験がギュッと詰まったお話でした。

新井さん貴重なお話有難うございました。

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