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右利きは左を制する

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「筋肉番付」によく出演し、並み居る一流のスポーツ選手を退けて、抜群の身体能力を発揮しているケイン・コスギさんという俳優がいます。
 
彼のお父さんで、俳優ショー・コスギさんは、息子さんのケインさんが生まれて、立ちあがったらすぐに空手を教え始めたそうです。
「身体はすぐに固まってしまう。その前に始めなければもう遅いのです」
と力説しているのを聞いたことがあります。
ものすごい英才教育ですね。
 
空手は、身体の柔軟性や、技に加えて、礼儀・礼節なども若いうちから学ばなければなりません。
しかし基本的に伝統的な空手は左右両方使えないといけないそうで、右利きが固まらないうちに始めるのはとても理にかなっていると思います。
実際、左構え(右利き)の選手が多い空手で、左右スイッチできることは戦いの場面で優位に立てますね。
 
3月26日の記事でも書いたように、人間は、1歳児までは4割が左利きだそうですが、5歳までにほとんどが自然と右利きになってしまいます。
 
ピアノも、できれば左右均等に使いたいものですが、右利きに固まってしまうと、どうしても左が弱くなってしまいます。
歴史上、右利きのピアニスト、作曲家が多く、皆さん同じように苦労したのでしょう。
昔から左手を特別に訓練するための練習曲が多く存在するわけですね。
 
ピアノは両手の訓練が必要ですが、バイオリンは特に左手です。
 
左手で、弦を繊細に、時に素早い動きで押さえていかなければなりません。
バイオリンのレッスンに伴奏ピアニストとして行ったとき、先生が
 
「バイオリンはとにかく左手です」
 
とおっしゃっていたのを覚えています。
 
楽器を身体の一部のようにシンクロさせる能力や、音感に優れた耳、リズム感、音楽性も必要ですが、早期教育の一つのポイントは左右関係なく手の動きや神経を開発すること、そして利き腕ではない方の手にあると思います。
技術は後からついてきます。表現力も経験を積めば深まってくるのです。
 
バイオリンは数ある楽器の中でも、特に早く始めるのが良いとされているのは、左手の楽器だから、というのも大きな理由だと思います。
 
身体が固まらないうちに開始したことで、遅く始めた人が苦労するところは省略できるため、進みが速く、本来大人になってから訓練すべきところを、より若いうちにマスターしてしまいます。
音楽界で神童と呼ばれる人たちのほとんどは、5歳前までには何かしら楽器の稽古を始めていると思います。
 
ただ、昨日の記事にもありましたが、演奏は技術だけではありません。
「二十歳すぎればただの人・・・」になってしまう例もたくさんあるのです。
 
音楽は、その人の生き様が演奏に表れます。
聴衆はそこに感動するのです。
 
最後は人間なのですね。
 
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