左利きは不利なのか?それとも有利なのか?
私が最初にピアノの手ほどきを受けた先生は左利きでした。
しかし、先生は鉛筆もお箸もすべて右手を使ってらっしゃり、右利きとほとんど変わらない様子でしたので気がつきませんでした。
それが分かったのは、ある日のレッスンのときです。
私は右利きでしたので、子供には難しい左手のパッセージにてこずっていると、先生がおっしゃいました。
「私は左利きでしたけれど、子供の頃に右利きの訓練をしました。
そのやり方とは、二つのお盆を並べて、片方にお豆を山盛りにします。
右手に箸を持ち、お豆を一つずつつまんで全て移動するのです。
そして同じ方法で空いたお盆に再び戻します。
母がね、『左利きだと、文字を書いたり、お箸を使ったり、はさみを持ったり、生活でいろいろと大変だから』と言って訓練したのよ。」
「ピアノはね、両手で弾くのよ。
あなたは右利きだから、左手の練習は右手の2倍しなければいけませんよ。
ピアノの前に座ったら、まず左手の練習から。
そして右手。
それからもう一度左手の練習をしなさい。
そうすれば2倍練習することになるでしょう。」
「それにね、これからやっていけばわかることなんだけれど、ピアノは左手も難しいけれど、右手がより高度なテクニックを必要としますから、左利きだと右手を使えるようになるまで努力がいります。
私はおかげさまで両利きになったので、皆さんが左手に苦労するところはそうでもありませんでしたけれどね。」
人間は、1歳児までは4割が左利きだそうです。
その後、クレヨンを持ったり、スプーンで食事をしたりするうちに、自然と矯正されて
5歳までにほとんどが右利きになってしまいます。
ということは、ピアノのお稽古は、5歳前までに始めると両方の手が均等に使えるようになるということですね。
ピアノやヴァイオリンを始めるのは早ければ早いほどいい、と言われているのは、感性の問題以外に、そういったこともあるのかもしれません。