Re: 海外ドメインの取得について
前回に続いて、今年ドメインに関して連絡のあった、もう1件です。割と最近、海外のドメインのドロップキャッチについて問い合わせがありました。大げさにいうとコンサルっぽいことを希望されていたようですが、そこまでの知見があるわけでも責任を負えるわけでもないので、過去の知識についてまとめて回答しました。もともと、あるドロップキャッチ(バックオーダーとも呼びます)を行う業者を使ったのに、取得に失敗したということでした。(以下、内容は修正しています)
<非公開>様
... この業者の FAQ によれば、「取得できなかった場合は、別のドメインを指定するか、 サポートチームに払い戻しを要求してください」ということです。 ただし、サポートの連絡先をクリックしてもエラーになるので対応してくれないかもしれません。可能なら、「指定したドメインの登録に失敗したようなので、返金を希望します。」と連絡してみてください。運が良ければ返金してくれるかもしれません。 逆にダメなら、"将来"無断で引き落としがされないようカード会社に連絡する方がよいかもしれません。 そこまでの対応が必要なことは滅多にないですが。
怪しいサイトにも見えますが、バックオーダーを"注文"したときに決済されるということ自体がおかしいわけではありません。もともと SnapNames という業者は、そういうサービスでした。 時期によって違うのですが、だいたい $49~$69 くらいを「事前に」支払って、ドロップしたドメインをキャッチしてもらう、キャッチに失敗したら、代わりに別のドメインを指定できることになっていました。(返金は不可) この指定のやりなおしは、当初は無期限でしたが、ある時期から1年に限定され、その後、pool.com がはじめた事後オークション形式に移行しました。
今、主流となっている事後オークション、つまり、事前に「申込み」だけしておき、キャッチした"後"で、申し込んだ人たちでオークションするという形式は pool.com がはじめたものです。それ以前には「事前にオークションして勝者を決めておき、キャッチできたらその人のものになる」という形式はあり、ドロップキャッチ業者は「高値になったものを優先的に狙う」ことができました。事後オークションの場合、業者は事前にいくらの利益になるかわからない代わり、利用者は「競り勝てば必ず自分のものになる」ため、入札が高騰しがちで、ドロップキャッチ業者にとっても収益を増加できました。実際、pool.com は、これでドロップキャッチ業界で台頭し、その後、"強い"ドロップキャッチを目指す他の業者も採用するようになりました。
pool.com は強い業者として知られるようになりましたが、古参である SnapNames は技術的に対抗するだけでなく、戦略的パートナー(ドメイン登録業者)からドロップするものは、実際にはドロップさせずに強制的に自分のものにしてしまう、ということをやりはじめました。以下のページに書かれている登録業者からドロップするものは、 SnapNames でバックオーダーが指定されている場合、他の業者がキャッチすることはありません。
https://www.snapnames.com/preferred_info.jsp
ここに古参レジストラの NetworkSolutions が入っているのがミソです。「価値あるドメインがドロップする」のは、NetworkSolutions が一番多いのです。(もっとも、これもだいぶ古い情報なので、今では違っているかもしれません)他の業者からすれば、"卑怯"にも見える手段ですが、今では他の業者も同じようなパートナー提携をしているはずです。そして、そういう提携をしていない登録業者のドメイン、あるいは、たいして人気がなく、業者どうしの争いにならないドメインだけがキャッチ競争になります。なお、こういう提携パートナーからのドロップだとレジストリ(.com なら VeriSign)レベルでは"失効"扱いにならないことには注意が必要です。(失効しないのに、知らぬ間にユーザーが変わっていることになります)
どんなドメインが失効するか(キャッチできそうか)は、それぞれの業者から情報を入手できます。
SnapNames.com
→https://www.snapnames.com/download.jsp
Pool.com
→http://pool.com/viewlist.aspx?ia=DomainsDeletingToday
NameJet.com
→http://www.namejet.com/Pages/Downloads.aspx
もっとも、ほとんどクズドメインばかりのリストなので、見るのは大変です。(私は、こういうリストから探したことはほとんどないです) ちなみに、私がドロップキャッチに手を出し始めた頃、「全ドメイン登録リスト」というものが売られていたので、それを入手して、「.com/.net/.org が全部登録されていてハイフンや数字が絡まない、ある程度短いもの」をプログラムでピックアップしたり、英語辞典から一般性の高い単語リストをピックアップしたり、街中を歩いているときに見かけた単語をメモして、その都度 whois を調べたりしていました。(i-mode で簡単に調べられるスクリプトを用意していました)
こうやって作り上げたリストに対して定期的に whois をプログラムで調べていましたが、ある時期から回数制限が厳しくなり、やりにくくなりました。昔は overture とか marketleap などで、言葉の検索頻度や、リンクの多寡を調べることができましたが、どちらも今は使えないですね。.jp のドロップキャッチでも"良い名前"より、"リンクアクセスの多そうなもの"の方が高値を付けているように見えるのですが、実のところ、皆さんがどうやってアクセスの多そうなドメインを探しているのかわからないでいます。(PageRank で判断しているのでしょうか?) 上記の3業者は、どれも事後オークションを採用しているはずなので、キャッチできない限り、費用はかからないはずです。
今、検索してみましたが、ドロップキャッチについて日本語で紹介している人もいますね。
http://writetomyblog.com/category/new_old_domain/
では。
大野
追伸
まだお読みでなければ、こちらもどうぞ。
→http://d.hatena.ne.jp/mohno/20060521/domainname