ドメインはいつ削除されるのか(gTLDの場合)
新たに独自ドメインを登録しようとするとき、ほとんどの人(または企業)は、その時点で登録できるもの、つまり空いているドメインを探そうとします。以前にも取り上げたことがあるのですが、要するに誰も登録していないドメインというのは、あまり人気がない言葉(フレーズ)だということです。たいていは造語やスペルミスなので、その言葉自身を普及させるためのブランディングが必要になります。
※もちろん、"microsoft"(造語)や"google"(スペルミス)のような言葉で成功した例もあります。
人気の高いドメインは、誰かが登録しているものですが、それでも何らかの事情で更新されずに失効することはあります。ここでは、そのようなドメインがどのように削除されるかについて解説します。今回は、gTLD(.com/.netなど)が、どのような順序で削除されていくかについて取り上げます。実際には、人気が高いドメインを手作業で登録できることはまずありません。自分以外が登録しようとしないとわかっているような、個人的に再登録したいというものが、いつ解放されるかの参考としてください。
■レジストラ(ドメイン登録業者)の更新猶予期間
いわゆる「期限切れ」の状態です。おおむね45日以内ですが、この期間はレジストラによって異なります。レジストラによって対応は異なりますが、通常はネームサーバーが無効になり、レジストラの管理下に置かれます。また、ドメインの所有者は、期限切れ状態から更新して期限を延長できます。更新を忘れて自分のサイトにアクセスできなくなり、慌てて手数料を払って更新するといったことが多く、とくにサイト運営中のドメインであれば、期限切れから延長されることは少なくありません。ただし、更新猶予期間はレジストラによってばらつきがあり、数日で次の状態に移行してしまうケースもあります。
なお、gTLD の場合、レジストラ自身が「バックオーダー」(※)と呼ばれるサービスと契約していることがあり、期限切れドメインが削除されることなく別の所有者に移管されてしまう可能性もあります。
※ドメインの失効・削除を待ち、手作業の代わりに再登録に挑戦してくれるサービス。
■登録回復期間
レジストラで失効した状態で、この状態に移行するとレジストリ(.com/.net の場合は VeriSign)で回復することになります。期間は30日です。
http://www.betterwhois.com/ などのサービスでドメインの whois(所有者情報)を調べることができますが、このときドメインのステータスが表示されます。.com/.net の場合は、"Status" という欄が "redemptionPeriod" になっているものが登録回復期間にあることを示します("PENDING DELETE RESTORABLE" と表示される場合もあります)。何年か前までは、更新を忘れて失効してしまったドメインが即座に第三者に再登録されてしまうことがありました。そこで所有者が更新を忘れた場合にも、それに気づいて回復できるように設けられたのがこの期間です。
30日という期間はレジストリで設定されているので、どのレジストラで登録されたものでも一定です。ただし、前述のようにレジストラがバックオーダーサービスと契約している場合があり、このときは回復期間に移行することなく所有者が変更されることもあります(元所有者の回復の権利を保持するため、期限切れしてから30日以内に移管されることはありません)。
レジストラで期限切れした場合と異なり、レジストリでのドメイン回復は手数料が高額になります。通常は、数万円程度かかります(レジストラと大量登録の契約している場合でも250ドル程度はかかります)。このため、登録回復期間に移行した後で回復手続きが行われることは、あまりありません。ほとんどが30日経過すると次の状態に移行します。自分の希望するドメインがこの状態になったら、しばらく注目しておくとよいでしょう。
■削除準備期間
登録回復期間を過ぎると削除、つまりレジストリのデータベースから削除される準備に入ります。ステータスは "pendingDelete" になります。ドメインのこの状態に入ったドメインは回復できないので、削除を待つだけになります。
■削除
削除準備期間が5日経過するとドメインは削除されて、再登録できるようになります。実際には6日後、かつ時差を考慮して更新日(Update)に7日足した午前1:00過ぎ(日本時間)です。一度にすべてのドメインが削除されるわけではなく、1時間前後の時間をかけて徐々に削除されるようです。
たとえば、2012年1月19日現在、ceochat.com というドメインのステータスが pendingDelete になっています。このドメインの更新日(Update)が 2012年1月13日なので、もうすぐ削除され、再登録可能な状態になります。ただし、このような分かりやすいフレーズのドメインは、まず手作業で再登録できないでしょう(おそらく削除された瞬間を確認できることもないと思います)。