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フランスでの海賊行為取り締まりは壮大な実験となるか

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フランスで海賊行為者のウェブアクセスを禁じる新制度」(CNet)や「フランス―P2Pでダウンロードするユーザーをインターネットから締め出す」(TechCrunch)で報じられているように、フランスでは海賊版のダウンロード行為を防止するため、警告3回でインターネット利用を禁止するという措置を取るのだそうです。先日締め切られたパブリックコメントでは、私は「(違法コンテンツの)ダウンロードの違法化は、実効性に疑問がある」と感じて消極的反対のコメントを出したのですが、インターネット利用の禁止とは恐れ入りました。

どのように違法ダウンロードを特定するのか、どこまでが警告の対象なのか(ダウンロード=受信というアクセス行為まで含むのか、ダウンロードして保存という複製行為なのか)、利用禁止が永続的なのか一時的なのか、そもそも実効性を持つほど大掛かりに取り締まるのかなど、わからない部分もありますが、今回の措置によって「フランス文化」がどのような変遷をたどるのかは非常に興味深いところです。それこそ、「ダウンロード違法化は文化の衰退を招く」という見地からは、著作権者側から「やっぱり厳しすぎた。やめよう」という提案が出てくる可能性もあるはずです。(そうでなくても、消費者団体からの反発でやめてしまう可能性だってあるでしょうが)

ところで、CNet の記事によれば、

また今回の合意では、映画製作会社や音楽企業にも一定の義務を負わせている。これらの企業は、作品をより迅速にオンライン上で入手可能にすること、特定のプラットフォーム上で音楽を読み取れないようにするなどの技術的障害を除去すること、の2点を公約している。

とのことです。ある程度のトレードオフを提供しないと規制を通しにくいということはあったのでしょうが、この公約が口先だけのものでなければ、正規の利用者に歓迎される措置になるかもしれません。

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