厳罰化で困るのは誰か?
ACCSの久保田さんのブログは、タイトルそのままな印象がありますね。たまたま勤務先に着任した COO が「愚直論」という本を出しているのも、何かの因縁でしょうか(←可能性はゼロ)。実際、今まで、このような立場の方が、こういうスタイルで意見を表明されることはあまりなかったように思うので、厳しいコメントはついていますが、今後とも継続してほしいとことです。
さて、最新のエントリ「著作権侵害が懲役10年以下になる意味」では厳罰化に否定的なコメントが(匿名で)ありましたが、厳罰化で困る人って誰なんでしょう。飲酒運転の厳罰化により、飲酒運転による死亡事故が減少しましたが、死亡事故が減って困る人はいないでしょう(捕まらないよう当て逃げが増えたという報告はあるようですが)。また、栗原さんの最新エントリでも、DRMフリーに対するバランスとしての厳罰化が挙げられていました。インターネットの普及により、かつてないほど著作権侵害が容易に行われるようになってきましたが、“冤罪”という問題を除けば正当な利用者にとって厳罰化は何の障害もないはずです。むしろ、正規ユーザーにとっては、不正ユーザーが罰せられないことの方が不満要因になりそうです。
もちろん、「正当な利用」がどこまで認められるかという点についての厳罰化とは別の議論があるでしょう。素材集の利用やクリエイティブコモンズの作品登録が“不正扱い”されることには断固反対します(そのような判断が下される可能性はないと信じますが)。しかし、「フリーライドは擁護されない」にも書いたとおり、著作者に対価が支払われない利用を擁護する“識者”はまずいません。久保田さんのエントリに対する否定的なコメントがすべて匿名で書かれていることが、こうした意見を発する人々の素性を物語っているようにも感じます。