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ICPFシンポジウム「参加型メディアの可能性」に参加

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今日の午後は有給を取って、情報通信政策フォーラム主催の「参加型メディアの可能性」というシンポジウムに参加してきました。前半は wikipedia の創設者、Jimmy Wales 氏による「Wikipedia の未来」という講演、後半はアルファブロガーの方々による討論会でした。最初に書くのもなんですが、こんなに凄いメンバーによる講演&討論会が5,000円で参加できるのに、100席ちょっとの会場(かつ空席あり)だったというのはかなり意外でした。

閑話休題。メディアの方も参加されていたようですので、本筋部分については、どこかでレポートされると思いますが、個人的に印象に残った点をいくつかお伝えします。

Wales 氏の講演に続いて西和彦氏によるコメント(質問)があったのですが、司会の池田信夫氏が、かつて西氏の項目で起きた編集合戦について「それを聞いてもらうためにお呼びした」と振りました。池田氏は、最近英語版の "comfort women" という項目で自ら編集合戦に労力を割かれているのですが、そこで起きていた匿名編集者による荒らし行為への不満です。西氏は冷静で、国境問題を例にとり「解決していない問題は他にもあるので、wikipedia だけで論じてもしかたがない」と返されました。後で会場からの質問に答えて Wales 氏が wikipedia が(encyclopedia だけでなく)部分的には media という意味合いを持ってきたと認めたくらい、wikipedia の影響力が大きくなってきており、そこに書かれた「不都合な間違い」を放っておけないという感覚はわかります。ただ、現実の国家レベルでも決着しないものを wikipedia 上で決着させるのは、なかなか難しいでしょう。Wales 氏は、そうした問題があっても、全体としては問題ないと楽観的だったようです。ちなみに、Wales 氏によれば日本では匿名 IP による編集は異常に多いのだそうで(wikipedia 側で調査したくらい)、これは2ちゃんねるという匿名掲示板の影響ではないかと推測されていました。

質問時間のときに、西氏(あるいは私の知り合い)が行っていたような自分の項目について編集する行為について聞いてみました。すでに、wikipedia では「自分に中立的な立場で書くのは難しいので他人に任せるのが望ましい」という方針が掲げられているのですが、そうはいっても積極的に編集してくれる人がいなければ対応を待っていても修正されにくいであろうからです(wikipedia は自己編集を禁止しているわけではありませんが)。実際の女性記者女優の例を挙げて説明してくださいましたが、結論からいうと難しい問題ということでした。まあ、仕方がないですね。

後半は、佐々木俊尚氏小飼弾氏磯崎哲也氏原淳二郎氏池田信夫氏という錚々たるブロガーによる討論会でした。

最初は「匿名と実名」についての話でしたが、小飼氏が「実名によって、たしかにリスクは生じるが、(アメリカよりも)ずっと低い。メリットを考えて実名(または別名)を使おう」と強調されていました。匿名による“ノイズ”について、佐々木氏は「コメントにノイズはあるのは当然なので気にしないこと」とおっしゃり、対して原氏は「ノイズは嫌い」と一蹴されていました。佐々木氏の「気に食わない意見も残しておくことで言論が強くなる」という意見には、大いに同意するところです。

こちらでも質問時間に「(とくに反論したい場合)コメントとトラックバックのどちらが好ましいか」について皆さんにお聞きしました(ご推察の通り、個人的な意味合いも含まれています^_^;)。

佐々木氏のブログは CNet にあり、元々コメントが認められていません。この背景には、hotwired 時代の小倉弁護士のブログが炎上したことも理由になっているそうです(というのは知っている人は知っているのでしょうが)。小飼氏は「意見」があるのならトラックバックして自分のブログで書くべき、ということでした。相手のブログの管理権は相手にあり、たとえばコメントがオーナーに削除されてしまうおそれもあるといったことが理由でした。磯崎氏は「どちらでも」。原氏は逆に「トラックバックはお断り」だそうです。これは、このオルタナティブブログにもよくあるスパムトラックバックに辟易とされていることが理由です。池田信夫氏は「どちらでも」ですが、コメントは長くならないように、とのことでした。どうも、トラックバックというのは「こっちへ読みにこい」と言っているようで気が引けていたのですが(リンク稼ぎのようにも見えますし)、原氏のようにスパム系に対する不満ということでもなければ、あまり否定的な印象はないようですね。

余談。「カメラを持っていけばよかった」と、ちょっと後悔。

※追記。ITmedia「Wikipedia創設者が来日
※追記。ITmedia「ビジネスパーソンがブログを書くときに気をつけたい4つの問題※「子飼氏」→「小飼氏」です。

※(どうでもよい追記)久々に乗った丸ノ内線で見た吊り広告より。

Kashiwade_1

※はくしゅ・・・?
(これも“かしわで”と読むんですね。木扁かと思って携帯で撮影したのですが^_^;)

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