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世界から憧憬される骨太なニッポンになろう。カリフォルニア発日本応援歌

英語的発想に慣れよう!

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先週、某大学で「英語的発想に慣れよう」というワークショップを開催しました。
このワークショップでは、英語で文章を書くという作業をする時に、どう書いてよいのかわからないというケースや、直訳しても英語として成り立たない、という場合にどう対処したらよいかを練習しました。

たとえば:

土砂災害の危険が非常に高まっています。(台風4号の影響を懸念する気象情報で)


ステップ1
:この日本語文の主語と述語を探してみましょう。
そう、主語は「危険が」、述語は「高まっています」です。
これで英文化した場合は、S+Vの構文になるということが予想されますね。

ステップ2:「危険が」をどう訳すか?
危険にはdanger、hazard、peril、risk、ventureなど、辞書を引くといくつかの訳語が出てきますので、それぞれどのようなニュアンスがあるのか、どのような場面で使うのが適切なのかを考えましょう。
その時、「土砂災害の」が「危険」を修飾しているので、「土砂災害の危険」という文脈での「危険」という意味を考えると適語が選びやすくなります。

ステップ3:「土砂災害の」は何と表現するか。
辞書を引いて、土砂=sediment、災害=disaster だからsediment disasterだ!で満足してはいけませんよ。
他にどんな表現があるか考えてみましょう。
土砂災害は、土砂崩れという言い方もありますね。土砂崩れはland slideと言い、がけ崩れのような土砂災害を指します。

ここであらためてsedimentやdisasterを英和辞典で確認してみましょう。
sedimentは沈殿物、堆積物という意味です。
disasterは災害をさす一般的、汎用的な言葉です。
ですから、sediment disasterと言うと、土砂崩れというよりは、海や川の底に何かが沈殿して問題を引き起こしたのかと一瞬思ってしまいます。この場合は、土砂や災害という単語にこだわらず、土砂崩れに相当するland slideの方が適訳ということになります。

land slideに修飾されている危険ですから、ここは単なる危険ではなく、むしろ危険性。
土砂崩れが発生する可能性という意味だということに気が付きます。
そこまでいけばしめたもの。
主語に相当する部分は、The risk of land slideということでひと段落。

ステップ4:「高まっています」をどう訳すか?
単純に「高まっています」であれば、increase、heighten escalateなどが考えられます。
ここで考えるべきは、主語との相性です。
riskが高まる であれば、increase あたりの動詞が無難でしょう。

ステップ5:英文としてもう一度見直す。
The risk of land slide increase. で構文の原型ができました。

英語では重要でありながら、日本語では比較的曖昧なのが、単数/複数の区別と時制です。
単数・複数の違いを意識するということは、可算語か不可算語かを区別するということですから、必然的に冠詞の有無を考えるということになり、一石二鳥ですよ。

時制については、「高まってきました」→ これからさらに高まる可能性もある というニュアンスを含んでいるので、現在進行形がよいでしょう。

The risk of land slides is increasing.

とりあえず、これで英語らしい英文が出来上がりました。
大事なことは、ここで再度、この英文を和訳してみること。

土砂災害の危険が高まっています。
⇒ The risk of land slides is increasing.
⇒ 土砂崩れの危険性が高まっています。

もしここで、土砂崩れだけではなく、土石流などの災害も含めて「土砂災害」と言いたい場合は、The risk of land slides and flash flood is increasing. と調整しても良いでしょう。

元の日本語と英訳文の和訳と完全に同じではないですよね?
でもそれでいいのです。そこが日本語と英語の違いなのですから。
だからこそ、英語的発想が必要になってくるのです。

英語的発想とは、実は日本語の解析から始まるというのが、ミッキー理論なのです。

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